立川志の春さん NYの和室でクローズドな英語落語

By 「ニューヨーク直行便」安部かすみ

(c) Kasumi Abe

12月8日、ニューヨークで落語家、立川志の春(たてかわ しのはる)さんが一夜だけの落語会を行った。

マンハッタンのダウンタウンにあるアメリカ人が所有する茶室「グローバス和室」で催されたこの落語会には、当地の落語ファンや在米日本人など約40人が集まり、会場は終始笑いに包まれた。

(c) Stephen Globus

大阪府出身、千葉県育ちの志の春さんは、幼少時と大学時代の合計7年間、アメリカ・ニューヨーク州ハリソン(アップステート)などで過ごした。三井物産に就職し3年半勤務、その後に落語家に転身した異色の経歴の持ち主。

志の春さんは今回の約1時間の落語会を、得意の英語で行った。公演後、上階で寿司や日本酒が振る舞われ、志の春さんも観客の前に現れた。手招きのジェスチャーなど日米で違うので、英語(もしくは日本語)で行う際、つい動きそうになる手を意図的に抑えることもあるそうだ。また、SNSでは他人を簡単にバッシングする姿が見られるご時世において、落語の世界や良さについては「人間って実はダメなところもあるよね」という他人への許容があるところだと語った。

コメディアンにしろ俳優にしろ、日本人がアメリカで活動する際、言語の違いが障壁になることがあるが、バイリンガルである志の春さんに言葉の壁はない。この公演前、ニューヨークの日本人学校の生徒にも落語を披露し好評だったそうだ。これを第一歩として、アメリカ人に落語の面白さを広めていってほしい。


【以前のインタビュー】

「他の国の人にも落語を聞いてもらいたい」と語っていた。

アメリカ大使館【立川 志の春 留学インタビュー】

以前行われた英語落語の動画 

【"Liquor Gate" Japanese Comedy Rakugo in English by Shinoharu Tatekawa】(英語落語「禁酒番屋」立川志の春)

会場となった「グローバス和室」とは?

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