自民党・安倍派の“裏金疑惑” 県内議員にも収支報告書不記載のキックバックか…説明避ける渦中の議員(静岡県)

岸田政権を揺るがす自民党・安倍派の“裏金疑惑”。県内の議員も、収支報告書に記載のないキックバックを受けていたとみられることが分かりました。渦中の議員たちはなぜ説明を避けるのか。

10日、浜松市で取材に応じた安倍派の塩谷立座長。

(自民党 安倍派 塩谷 立 座長)

「この度、清和政策研究会の政治資金パーティの件について、国民の皆様に大変な政治不信を招いたこと、まずもって心からお詫び申し上げる次第です」

開口一番、政治不信が高まっていることに謝罪しました。

自民党の安倍派「清和政策研究会」のパーティー券をめぐっては、これまでに、松野博一官房長官や自民党・高木毅国対委員長、世耕弘成参院幹事長側らが、収支報告書に記載のないキックバックを受けていたとみられることが発覚。

10日には、橋本聖子元オリンピック・パラリンピック担当大臣側が、直近5年間で総額1000万円を超えるキックバックをうけ、収支報告書に記載していなかったとみられることが新たにわかりました。

その疑惑は県内の議員にも…9日には、比例東海ブロック選出で静岡8区の塩谷立座長側も、収支報告書に記載のないキックバックを受けていたとみられることがわかったのです。

10日、キックバックがあったのかについて聞かれた塩谷座長は…

(自民党 安倍派 塩谷 立 座長)

「捜査が進んでいると聞きますが、具体的な事実関係を把握する中で、今後適切に対応していきたいと思います」

Q:ご自身の名前も一部報道で出ているが?

「それも含めて事実確認をしています」

塩谷座長は11月30日。キックバックを認めるかのような発言をしていました。

(自民党 安倍派 塩谷 立 座長)

Q:ノルマを超えた分は(議員に)戻した?

「そういう話はあったと思いますね」

しかし、そのわずか5時間後「精査していない状況で発言をした」と撤回していました。改めて、この発言について問われると…

(自民党 安倍派 塩谷 立 座長)

「あれはいろいろな質問の中で、そういう状況があったのかなと思っておりますが、事実関係把握しておりませんので、後ほど撤回をしたわけです」

Q:議員辞職するお考えは?

「今の時点ではありません」

「精査中」と繰り返し、議員辞職はせず、座長の交代もしない意向を示しました。この“裏金疑惑”について、塩谷座長の地元、浜松市民からは…

(浜松市民)

「我々の代表が質問に対して答えられないのは、代議士として役目が分かっていない。我々の代表だということを忘れてもらっては困る」「説明できないということはやましいんじゃないかと、最初に認めましたからね、完全に逃げ。見ていて恥ずかしい、あきれる」

一連の問題を受け、浜松市議会の自民党会派は、2024年2月に予定していた、4年に一度の政治資金パーティーを急きょ中止。複数の自民党市議からは、疑惑が浮上した塩谷座長に対し「説明を求めたい」との声も上がっています。

10日、岸田総理は、自民党の茂木幹事長など党幹部と相次いで会談し、裏金疑惑が指摘されている安倍派幹部5人の処遇など、今後の対応を協議しました。松野官房長官をはじめ、要職に就く安倍派幹部5人を交代させる検討に入っていますが、時期や規模については調整が続いています。また、自民党内からは大臣だけでなく、副大臣・政務官を含め「安倍派を一掃すべきだ」との声もあがっているといいます。

渦中の安倍派に所属する、比例東海ブロック選出で静岡3区の宮澤博行防衛副大臣。10日、磐田市で取材に応じ、キックバックについては「確認中」としながらも「もらえるような状況ではなかった」と説明しました。

(自民党 安倍派 宮沢博行 防衛副大臣)

Q:パーティ券のキックバックはないか?

「精査中です」

Qキックバックを受けたという記憶は?

「そもそもきついノルマだった。達成することで非常に苦労していた。だからといって全くございませんと言って、仮に1枚2枚でも超えた年があったら良くない。さかのぼって事実関係の確認を事務所内で行っています」

Q:1枚2枚あったという記憶はある?

「それも過去のことなんで覚えておりません」

Q:キックバックについてはどう考えている?

「ノルマを達成することでいっぱいだった。キックバックについて意識することはできなかったとしか現状言いようがない」

裏金疑惑はどこまで広がるのか?安倍派の収支報告書に記載のないキックバックは、総額数億円にのぼるとみられ、東京地検特捜部は、13日の臨時国会閉会後にも捜査を本格化させるものとみられます。

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