【袴田事件再審公判】5点の衣類が法廷へ 検察は犯行衣類と主張 弁護団は捜査機関のねつ造だと指摘

いわゆる袴田事件の第4回再審公判が静岡地裁で開かれました。弁護団は事件の最大の争点となっている5点の衣類を示し、これらは「着行着衣でも袴田さんのものでもない」と主張しました。

浜松・中区 午前8時40分ごろ
袴田さんの姉 ひで子さん:
「とにかく5点の衣類が重要なことなので、反論してもらいたいと思う」

1966年に旧清水市で起きた、いわゆる袴田事件。

みそ会社の専務一家4人を殺害したなどとして袴田巌さんの死刑が確定しています。

和田佳代子記者 静岡地裁:
「袴田巌さんの姉、ひで子さんと弁護団らが静岡地裁に入ります」

10月27日に始まった袴田事件の再審「やり直し裁判」。

その4回目の公判が11日開かれました。

一般傍聴席27席に対し、114人が傍聴券を求めて列を作り、11日も注目度の高さがうかがえました。

その理由の1つとして考えられるのが、袴田事件「最大の争点」と呼ばれる証拠が法廷で示されることにあります。

その証拠というのが・・・

「5点の衣類」

きょうの袴田巌さん

事件発生から1年2カ月後に、みそタンクの中から見つかった血染めの着衣。

これが、いわゆる“5点の衣類”です。

検察側はこの“5点の衣類”を袴田さんの犯行着衣とする一方で、弁護側はこれが捜査機関によって「ねつ造」されたものだと主張しています。

最大の争点とされる「5点の衣類」が扱われた11日の再審公判。
静岡地裁へ向かう前、姉のひで子さんが11日の巖さんの様子について語りました。

袴田さんの姉 袴田ひで子さん(90)
「まだ寝てたから今起こして、静岡行ってくるよと伝えたらまだ返事もしないで目を片目あけてたけど、まだ寝ていた」

ひで子さんが地裁に向かった後、午前11時半ごろに目を覚ましたという巌さん。

朝食を兼ねた昼食としてラーメンとフルーツを食べたということです。

5点の衣類が法廷へ

午前11時から静岡地裁で始まった4回目の再審公判。

検察側はこれまで通り、
“5点の衣類”は袴田さんの犯行着衣であると主張しました。

そして午後・・・

嶋田光希アナウンサー 午後3時半すぎ:
「弁護側から法廷内で5点の衣類の一部が示されました。ひで子さんは椅子の背もたれから少し体を起こしてその様子をまじまじと見つめている様子でした。裁判官が5点の衣類の近くまで来て、間近で見る様子もありました」

弁護側の冒頭陳述になると、
最大の争点とされる“5点の衣類”のうち、ステテコとズボンが法廷で示されました。

弁護側:
「弁護団として5点の衣類は犯行着衣でも、袴田さんのものでもないことを主張、立証します。検察の立証は矛盾だらけ。矛盾だらけの事実関係を説明できるのはねつ造だけ」

検察が犯行着衣だとする5点の衣類について、ねつ造だと主張した弁護側。

その上で・・・

弁護側:
「血痕の付着状況も不自然で説明が困難です。犯人が立って犯行に及んでいたとしたら血が垂れるはずですが、血が垂れた後はまったくありません。履けないズボンは袴田さんのものではありえない」

弁護側はみそタンクから見つかった衣類の色や傷、血痕の付着状況、さらにはズボンのサイズが下着として着用していたステテコよりも小さいことなどを、実物を示しながら指摘。

改めて5点の衣類が捜査機関によってねつ造されたものであると主張しました。

これに対し検察側は事件後、袴田さんは太ったため、ズボンを履けなくなったと主張しました。

次回、5回目の公判は12月20日に開かれる予定です。

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