「逆転裁判456 王泥喜セレクション」プレイインプレッション――15年ぶりにプレイした「4」には新鮮さと懐かしさの両方が詰まっていた

カプコンから2024年1月25日に発売予定のPS4/Xbox One/Nintendo Switch/PC(Steam/Windows)用ソフト「逆転裁判456 王泥喜セレクション」のプレイインプレッションをお届けする。

「逆転裁判456 王泥喜セレクション」は、ニンテンドーDS向けに発売された「逆転裁判4」、共にニンテンドー3DS向けに発売された「逆転裁判5」、「逆転裁判6」の3作品を1つのパッケージに収録したタイトルだ。

なお筆者は、今回収録されている3作品は発売当時にプレイ済。そのため、今回のインプレッションも一度プレイした視点からとなることをご了承いただきたい。

■昔の懐かしい雰囲気を残しつつ、明確に美しく生まれ変わった

シナリオやトリックなど基本的なゲーム内容については、オリジナル版から変更されている点はない。映像面はフルHD対応化にあわせた背景・キャラクターグラフィックは一新、BGM・SEも高音質な音源に変更されているが、「当時の映像がそのまま綺麗になった」というのがプレイしての印象だ。

素材的はほぼ作り直されているにも関わらず、どこか懐かしさを感じられる作りになっており、オリジナル版の雰囲気がかなり忠実に再現されている。

一方で、前述の通りオリジナル版はニンテンドーDS及びニンテンドー3DS向けに発売されたタイトルであるため、捜査時に発生するミニゲームなど、タッチパネルを生かした要素がいくつか存在していた。オリジナル版に存在していたミニゲームはすべて本作でも収録されているが、ゲームパッドで違和感なくプレイできるように調整が行われている。

また、オリジナル版では法定記録を下画面で確認することもできたが、こちらはボタンを押してウインドウを呼び出す「逆転裁判123 成歩堂セレクション」と同じ方式に変更となっている。

ほぼどんなタイミングでも確認できたオリジナル版と比べると、僅かに利便性は落ちているものの、必要となる場面でウインドウを呼び出せないという場面はまず起こらないので、不便さはまったく感じずにプレイできた。

新要素としては、「成歩堂セレクション」と同様に、自動で文字送りをしてくれるオート機能や、証拠品の選択なども含め、ゲームに関するすべての進行を自動でやってくれる「ストーリーモード」が実装された。ストーリーモードはオプションでいつでもオンオフが可能だが、ストーリーモードをオンにすると後述する「勲章」の一部が修得できなくなる。

「ミュージアム」モードも追加され、本作で収録されたゲーム内BGMとオーケストラコンサートの楽曲を聴ける「オーケストラホール」、キービジュアルにキャラクターの設定画やゲーム内のイベントカットなどを見られる「アートライブラリ」、各キャラクターのポーズ・背景・音楽・ボイスを自由に組み合わせられる「アクションスタジオ」、ゲームのやりこみ度にあわせて習得できる「勲章」が用意されている。

オーケストラホールでは、全175もの楽曲が収録されている。プレイリストも作成でき、プレイヤー人気の高い「追求~」シリーズだけを流し続けることもできる。
アートライブラリはゲーム内の様々なビジュアルを見られる。クリア前のシナリオのものも最初から解放されているので、はじめてプレイする際は注意しよう。

また、「4」「5」「6」の各タイトルをクリアするごとに、新たに書き下ろされたイラストが解放され、「5」「6」はDLCとして配信されていた特別編や衣装も収録。とくに特別編は、なかなか再プレイが難しい環境になっていたのもあり、ファンにとっては嬉しい要素だ。

■おぼろげな記憶を呼び起こしながらプレイする当時とは一味違う楽しさ

冒頭でも触れた通り、シナリオはオリジナル版の内容そのままであるため、もちろんその面白さも変わらない。

3作品ともゲームの流れは共通しており、事件についての情報や証拠品を集める捜査パート、捜査パートで集めた情報を頼りに、証言の矛盾や真犯人人のトリックを解き明かしていく裁判パートの2つを交互にプレイしていくことになる。

今回は、各タイトルの序盤のエピソードを一通り久しぶりにプレイしたのだが、個人的に一番印象に残ったのは「4」の第1話だ。

第1話では、主人公・王泥喜法介が担当する始めての弁護が描かれることになるのだが、なんとこの回の殺人事件の被告人として登場するのは「1」~「3」で主人公を務めた成歩堂龍一。「4」の成歩堂はある事件によって法曹界から追放され、以前とは似ても似つかない、無気力な姿で登場する。

筆者は「4」発売当時から「逆転裁判」シリーズのファンだったので、「4」の成歩堂を見たそれはもう大きなショックを受けたものだったが、改めてプレイしてみると、この1話には成歩堂自身も含めたさまざまな謎、インパクトのあるドンデン返しも待ち受けており、「逆転裁判」シリーズらしいエッセンスがこれでもかと詰まっていると感じられた。

また、「4」は2007年、「5」は2013年、「6」でも2016年と、どの作品も発売から結構な時間が経っているのもあり、恥ずかしながら細かい内容について結構忘れてしまっていた部分も多かった。筆者と同じようなファンも少なくはないのではないかと思うが、想像していた以上に新作に近い感覚でプレイできたことは強調しておきたい点だ。

「逆転裁判」シリーズ最大の魅力でもある、ちょっとした矛盾をきっかけに謎が解け、次々と事件の全貌が分かっていく爽快感はほぼそのまま。時折、「この証拠品がすごい重要だったような……」とぼんやりとした当時の記憶が蘇ったり、リアルタイムでプレイした時とは違った楽しさも味わえる。

もちろん、「成歩堂セレクション」などをきっかけにシリーズを知り、まだ「4」「5」「6」をプレイしていない人なら、よりオススメできるのは言うまでもない。

「4」の主人公は、新主人公の王泥喜だが、前作までの主人公である成歩堂もメインキャラクターとしてしっかり本筋に関わってくるし、「5」「6」では成歩堂は中心的な主人公として大活躍する。さらに「6」では「1」~「3」ヒロインである綾里真宵もメインキャラとして登場するなど、「1」~「3」までのファンへのサービスも満載なので、この機会に是非プレイして見て欲しいところだ。

なお、今回収録された3タイトルはどのタイトルからも好きな順番でプレイすることができるので、「4」と「5」はやったけど「6」だけ未プレイという場合も最初から「6」をプレイできる。ただし、今回収録されている「4」「5」「6」はナンバリングの並び通りにストーリーが繋がっているので、はじめてプレイする場合は「4」から順番にプレイすることを強くオススメしたい。

「4」の「みぬく」、「5」の「ココロスコープ」、「6」の「託宣」と、各タイトルごとに特徴的なシステムが存在。連続でプレイしてもゲーム的な変化を感じられる。

「逆転裁判」は、シリーズを重ねるごとにシナリオボリュームが増えているのもあり、新しめのナンバリングが3作セットになっている本作は、すべてプレイすると凄まじいボリュームがある。リメイクというよりはリマスターに近い作品だが、テキストアドベンチャーというジャンルの性質上、最新のゲームとさほど変わらない感覚で楽しめるので、この機会に、是非ともプレイしてほしい。

(C)CAPCOM


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