勝興寺参拝者1.8倍 国宝指定12日で1年 7万3849人、活用拡大へ

境内を見て回る参拝客。国宝指定で増加している=高岡市伏木古国府の国宝勝興寺

 高岡市伏木古国府の勝興寺が12日、国宝指定から1年を迎える。参拝者数は昨年12月から1年間で7万3千人に上り、前年同期の約1.8倍に増えた。国宝効果や新型コロナの5類移行による団体客増加が要因とみられる。境内を会場にしたイベント・会議の開催も増えており、市や地元関係者は北陸新幹線敦賀開業やインバウンド(訪日客)需要の高まりを見据え、活用の裾野を広げる方針だ。

 勝興寺文化財保存・活用事業団によると、昨年12月から今年11月末までの参拝者は前年同期比3万2550人増の7万3849人だった。昨年10月に国の文化審議会が国宝指定の答申を出して以降、増加しているという。

 勝興寺の参拝客数はコロナ前の2019年(1~12月)に1万7333人だったが、20年はコロナ禍で1万567人に減少。「平成の大修理」が完工し注目が集まった21年は3万832人に伸びていた。

 勝興寺を中心に伏木地区のボランティアガイドを務める「比奈の会」によると、今年5月ごろからはほぼ毎日ガイドの依頼が寄せられている。金子榮子会長(78)は「海外客で、京都や金沢には行かず勝興寺を目当てに来た方もいる。国宝の強みを感じている」と話す。

 国宝に指定された境内を活用する動きも広がりを見せている。勝興寺文化財保存・活用事業団によると、平成の大修理を終えた21年春以降、毎年15件前後のイベント・会議利用を受け入れており、2023年度は20件の利用・予約が入っている。

  ●イベント増加「どんどん使って」

 「高岡茶会」(富山新聞社、北國新聞社主催)などの文化行事や写真展のほか、新たに着物販売会など商業イベントにも利用され、音楽コンサートなどの打診もあるという。事業団の高田克宏専務理事(66)は「地域に開かれた寺としてどんどん使ってほしい」と強調する。

 一方、周辺には増加する観光客を受け入れる飲食店、土産店が少ない。今後は地域への波及効果拡大にも期待が掛かる。JR伏木駅前で食堂「食楽房 如楓庵(にょふうあん)」を営むSK企画(米島)は来春をめどに食堂1階に団体用の客席を増設して土産品コーナーを設ける。島田博司社長(66)は「周辺で観光客が滞在できる環境づくりが必要だ」と指摘した。

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