攻勢に転じた「ビックカメラ」次の買収ターゲットはどこ

ビックカメラの店舗(都内)

ビックカメラ<3048>が今年2度目の企業買収に踏み切った。2021年12月以来約2年ぶりとなる企業買収を2023年10月に実施し、わずか2カ月ほどで新たなM&Aを決めたのだ。

同社は、ここ10年ほどの間は1-3年に1度のペースで企業や事業を取得しており、適時開示情報では1年に2社の買収は、これまでは無かった。

2023年10月に発表した中期経営ビジョンによると、グループ力を結集した新たなビジネスモデルを構築し「グループ経営資源の最適化による企業価値の極大化」を目指すとしている。

コロナ禍後の成長に企業買収が一つの選択肢になる可能性は低くはない。次の買収ターゲットはどのような企業になるだろうか。

リユース事業分野に照準か

ビックカメラは2023年12月22日に、OA機器、複合機、シュレッダーなどの業務用機器の買い取りや販売、保守、回収などのリユース事業を手がけるエーワン(埼玉県八潮市)を子会社化する。

オフィス機器のリユース商材が加わることで、業務用やリユース市場でシェア拡大が期待できるほか、エーワンが強みとする理化学機器や測量機器など、より専門性が高いリユース商材の取り扱いも可能になる。

エーワンを子会社化するのは、パソコンやスマホなどのデジタル機器の販売やリユース事業などを手がける傘下のソフマップ(東京都千代田区)で、高いシナジーが見込めるとしている。

このほかにもビックカメラの傘下には、2021年12月にグループ化したパソコンやスマホなどの買い取りや販売を行っている、じゃんぱら(東京都千代田区)や、使用済みの電気、電子、情報機器の再資源化事業を手がけるフューチャー・エコロジー(東京都大田区)などの企業がある。

ビックカメラではリユース市場が今後も拡大すると判断しており、グループ一体となって取り組みを強化する方針を打ち出している。

ソフマップ、じゃんぱら、フューチャー・エコロジーの体制に、新たにエーワンが加わることで、事業に厚みが出てくることになる。

リユース事業で「ポートフォリオのさらなる拡大」という目標をかかげる同社にとって、次の買収ターゲットがこの分野の企業や事業になる可能性は十分にありそうだ。

売り上げはコロナ禍前越えに

ビックカメラが2023年10月に傘下に収めたのは、デンソー<6902>子会社のTDモバイル(東京都港区)の携帯電話販売と代理店事業で、携帯ショップ事業の店舗網の拡大とサービス向上が狙いだ。

ビックカメラは傘下のラネット(東京都豊島区)で携帯ショップ事業を展開しており、こちらについても両社のシナジーが見込める。

こうした取り組みに加え、インバウンド(訪日客)の増加などのプラス要因もあり、2024年8月期は営業利益が3期ぶりに増加に転じるほか、売上高は2期連続の増加となり、コロナ禍前の2019年8月期を上回る見込みだ。

2024/8は予想

文:M&A Online

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