レッドブル復帰とフェルスタッペンへの再挑戦を目指すリカルドには「やるべきことがたくさんある」と元F1ドライバーが指摘

 元F1ドライバーで、現在『Sky F1』の解説を務めるマーティン・ブランドルは、ダニエル・リカルドのF1復帰はいまだ期待に届いていないと考えており、レッドブルのマックス・フェルスタッペンとふたたび対決する準備ができているのか疑問視している。

 昨年末にマクラーレンと双方の合意のもとで契約を早期に終了したリカルドは、今年のハンガリーGPでアルファタウリからセンセーショナルなグリッド復帰を果たし、不振のニック・デ・フリースの穴を埋めた。しかし34歳のリカルドのカムバックは、復帰3戦目となったオランダGPのフリー走行2回目にクラッシュを喫して左手の中手骨を骨折したことで中断され、彼はその後5戦の欠場を余儀なくされた。

 怪我による停滞があったものの、リカルドはアメリカGPでレースに復帰。メキシコシティGPでは予選で素晴らしいパフォーマンスを見せて4番グリッドを獲得し、リカルドはそこから手堅く7位に入賞して今シーズンのアルファタウリのベストリザルトを記録した。

2023年F1第20戦メキシコシティGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)

 リカルドがアルファタウリを踏み台にしてレッドブルに復帰し、現在はセルジオ・ペレスが占めているチームのふたつ目のシートを獲得しようとしているのは周知の事実だ。2023年の最終戦アブダビGPのパドックでは、ペレスの立場が依然不安定だといううわさが流れた。2024年の序盤のレースでペレスが速さを発揮できずフェルスタッペンに太刀打ちできなかったら、レッドブルはペレスの後任候補としてリカルドを優先し、リアム・ローソンがリカルドの後任としてアルファタウリに入るだろうというのが大方の見方だ。

 しかしブランドルは、リカルドがトップレベルのドライバーとして見られることを望んでいるのなら、彼のパフォーマンスにはさらなる一貫性と説得力が必要になると考えている。またブランドルは、10回のグランプリ優勝経験のあるリカルドが、チームメイトの角田裕毅を圧倒的に凌駕することも期待していた。

「私が期待していたほどダニエルが角田を上回っているとは思わない」とブランドルは『Sky F1』のファンとの質疑応答で語った。

「彼が難しい状況に放り込まれたことは知っているし、ザントフォールトでのインシデントはとても不運だった。だからまだ結論は出ていない」

「また、マクラーレンは彼を(オスカー・)ピアストリと交代させたことを言っておかねばならない。それにはある程度の代償と痛みが伴ったが、非常に賢明な判断だったのではないだろうか?」

「そのため、ダニエルはマックス・フェルスタッペンと戦う準備ができていると思われる前に、やるべきことがたくさんあると私は考えている」

2023年F1第23戦アブダビGP ダニエル・リカルド(アルファタウリ)

 自信に満ちたフェルスタッペンは、垂涎の的であるレッドブルのシートにふさわしいことをリカルドはふたたび証明する必要があるというブランドルの意見に同意した。フェルスタッペンは11月に、「ダニエルは、レッドブルのようなトップチームでドライブする才能を持っていると思う」と語っている。

「でも彼は今も最高レベルでパフォーマンスを発揮できることを示す必要がある。彼がそうできるのなら、レッドブルは彼を取り戻すことに関心を持つだろうと確信している」

「彼は経験豊富だし、いつもマシンから最大限の力を引き出すことができる。彼がベストな状態に戻れたら、どのチームにとっても非常に貴重な財産になるのは確かだ」

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