【新NISA】こんなときどうする? つみたて継続、株式投資への挑戦、課税口座に資産保有…パターン別、新NISAの活用法

2023年も残りわずかとなりました。皆さんは新NISAの準備は済まされたでしょうか? 筆者も先日1月以降の買い付けの手続きを済ませました。今回は、筆者も含めたすでにNISAを行っている人たちが新NISAをどう利用するのかご紹介したいと思います。


現行のつみたてNISAをそのまま継続

最初にご紹介するのは高田さん(仮名)の例です。投資歴はまだ浅く、つみたてNISAを今年から始められたばかりです。現在お子さんに教育費がかかる時期ということもあり、投資に回せる資金はそれほど多くありません。

新NISA開始に伴い、家計の見直しにも取り組まれましたが、しばらくはこのまま続投という結果になりました。したがって、「新NISAはなにも手続きをしない」となりました。

2023年につみたてNISAをしている人は、なんの手続きもなしに新NISAが設定されます。また自動的に、同じ投資信託を同じ金額でつみたて投資枠で積立が実行されます。

高田さんは、これまで同様全世界の株式に投資をするインデックスファンドを月々2万円、つみたて投資枠で継続します。

さてここで1点注意事項です。2023年に一般NISAで積立投資をしていた方は、新NISAでも自動的に積立が継続しますが、その際投資が行われるのは成長投資枠となります。つみたて投資枠を利用したい場合は、改めての手続きが必要です。

例えば毎月10万円を一般NISAで積立投資をしていた方は、何の手続きもしないと新NISAでは成長投資枠を利用して月10万円の積立投資が継続されます。もちろん新NISAでは、つみたて投資枠も成長投資枠もどちらも利用可能なのでそれで問題がないという場合は結構ですが、成長投資枠では別の運用をしたいと考えている人は注意が必要です。

新NISAはこれまでの2つのNISAが併用できる点がメリットですが、枠の概念は残ります。うっかり希望しない枠を消費してしまわないように、投資金額が大きい方、ご自身なりの投資戦略をお持ちの方は、お気をつけください。

成長投資枠で株式投資

次にご紹介するのは、勝田さん(仮名)です。投資歴は3年ほどですが、投資にとても熱心で、これまでのつみたてNISAでの投資額を大幅に増額する予定でいます。50代になり少し家計にもゆとりがあるので、老後資金用の資産形成に取り組みたいとのことです。

勝田さんは、つみたて投資枠と成長投資枠の両方を使う予定です。まず手続きとしては、現在つみたてNISAを利用して月3万円を高田さんと同様全世界の株式に投資をするインデックスファンドを購入していましたが、これを月5万円に増額する手続きをしました。つみたてNISAでの購入でしたから、自動的につみたて投資枠での積立となります。

成長投資枠については、株式投資にチャレンジされる予定です。今一生懸命銘柄選びの勉強をされています。伺うと、高配当株を狙っているということですが、株主優待もぜひゲットしたいと意気込んでいます。

NISAにおける注意点としては、損益通算や損失の繰り越しができないことが挙げられます。損益通算とは、譲渡益と譲渡損を相殺する仕組みです。

例えばA証券会社の特定口座で20万円の利益が出たとしましょう。一方B証券会社の特定口座では10万円の損失です。どちらも源泉徴収ありという税の手続きが自動で行われる設定にしていると仮定します。

するとA証券会社については、利益に対し20.315%が源泉されてしまいます。しかし、本人としてはA証券の20万円の利益とB証券の10万円の損失で、その年は10万円の利益ですから、A証券の源泉徴収では税金が引かれすぎたことになります。

そこで確定申告をすることで、A証券会社の利益をB証券会社の損失で打ち消し、払いすぎた税金を取り戻すことができます。これを損益通算と呼んでいます。

また、損失の繰り越しとは、確定申告により株式や投資信託での損失を計上し、最長3年間に渡り翌年以降の利益と相殺する仕組みです。仮に今年50万円の損失を確定申告で計上すると、翌年の利益30万円から計上された損失が控除されるので、税の支払いは不要、そしてその次の年にも利益が30万円出たら、そこから残りの20万円の損失を控除できるので、課税される利益は10万円のみといった流れになります。

しかし、NISA口座では、これらの手続きができませんので、特に積極的に株式の売買をしたいという方は、多くの銘柄を扱う際に損失がでているものも売却してトータルで利益を追求したいということも出てくるかもしれません。そういう場合はNISAではなく課税口座での取引がふさわしい場合もあることは知っておいた方が良いかと考えます。

課税口座から成長投資枠にお引越し

最後は筆者自身についてお伝えします。2023年はつみたてNISAで月3万円の積立を行っていました。私自身は還暦も間近ですし、教育費の支払いも済んでいますので、まずはつみたて投資枠については銘柄こそ変更はしませんが、月10万円の積立に変更します。

そして成長投資枠には、課税口座で運用していた投資信託を1月に入ってから、一旦売却してNISAの成長投資枠で買いなおす予定です。特に2019年の一般NISAで運用していたものがこの年末で課税口座に移されてしまうので、非課税運用を継続するために新NISA口座で買いなおします。

もう少し具体的に言うと、2019年に10万円ずつ積立てた投資信託の評価が現在200万円ほどになっています。この80万円の利益については、非課税期間で得たものなので税金はかかりません。年末の段階でいくらになるかは分かりませんが、いずれにしてもその時の価額で課税口座に一旦移ります。それを年明け早々に売却し、新NISAで買いなおすのです。

ご存じの通り成長投資枠は年間240万円の枠があります。私はずいぶん前から課税口座で保有している投資信託があるので、これも2019年の一般NISA分と合算して240万円になるように一部売却する予定です。税金が引かれることと、売買には多少の時間が必要なことを考えると、なかなか240万円ちょうどの買い付けは難しいと思いますが、それでも最大限成長投資枠を利用して、課税口座からのお引越しを実行するつもりです。

このようにつみたて投資枠で毎月10万円ずつの新規積立を実行し、成長投資枠では一般NISAから移管された投資信託と、もともと課税口座で運用していた投資信託をお引越しさせながら5年で生涯枠を使い切る算段です。

その後しばらく寝かして、65歳くらいから老後資金として取り崩しをします。1800万円の生涯枠がきっと2000万円以上にはなるのではないかと勝手な想像をしており、この資金を月10万円ずつ取り崩せば、20年近くはもちそうです。もちろん運用を継続しながら取り崩していきますので、仮に5%で運用ができれば、100歳まで資産寿命が維持できます。

ちなみに公的年金は70歳まで繰り下げると基本的な生活費が賄える予定なので、そこまでは働くこととiDeCoの運用資金を充てるつもりです。

なんだか夢物語のように聞こえるかもしれませんが、これまでの投資経験から十分実現可能な将来像だと認識しています。またお金の見える化ができると、経済的な不安に振り回されることがなくなります。すると、もっと本質的なこと、健康でいることや、豊かな人間関係を構築することに時間を費やすことができるようになります。

投資は単純な利益の追求ではありません。人生の豊かさを得るためのパーツの一つです。お金だけが人生の豊かさではありませんが、資産運用に早めに着手していれば、豊かさへの取り組みがもっと自由になります。

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