「県民の思い胸に」 プレミア優勝の青森山田高サッカー部、地元出身選手が躍動

DF山本 虎(青森出身)
GK鈴木 将永(青森出身)
DF小泉 佳絃(おいらせ出身)
FW米谷 壮史(青森出身)
FW津島 巧(青森出身)

 さいたま市で10日行われた「高円宮杯U-18(18歳以下)サッカープレミアリーグファイナル」で日本一をつかんだ青森山田高校。例年は青森県外出身者がスタメンを占めるが、今年は主将のDF山本虎(3年)=青森市出身=をはじめ、多くの地元選手が主力を担う。「青森県出身者が多いチームでも日本一になれることを証明できた」。試合後、山本は誇らしく語った。

 近年、プレミアや全国高校選手権、全国高校総体(インターハイ)を制し、常勝軍団となった青森山田。降り積もった雪の上で走り込みやサッカーをする「雪中トレーニング」に代表される厳しい環境を求めて、県内外からプロを目指す選手たちが門をたたく。部員は200人超。複数チームに分かれ、プレミアから県リーグまで各カテゴリーで戦っている。

 激しい部内競争を勝ち抜き、プレミアや選手権に出場するトップチームに入れるのは一握り。そんな中、今季はGK鈴木将永(3年)=青森市出身、山本とセンターバックを組むDF小泉佳絃=かいと=(同)=おいらせ町出身=が堅守を支え、FW米谷壮史(同)=青森市出身=はエースストライカーとして得点ランキング2位の15得点と攻撃をけん引した。現在は負傷離脱中ながら守備的MFとして19試合に出場し、存在感を示した谷川勇獅(2年)=八戸市出身、試合終盤に起用されるFW津島巧(3年)=青森市出身=らも控える。

 小学生時代から同じチームでプレーしたり県内大会で競い合ったり県選抜チームではともに戦ってきた仲。進路を申し合わせたわけではないが、2016年の青森山田の選手権初優勝などを見て進学を決めた。

 青森市出身者はいずれも自宅から通学。練習の前後、グラウンド横に設けられた自宅生用のプレハブで雑談に花を咲かせる時間がリフレッシュになっているという米谷は「付き合いが長いし、絆は深い」と津軽弁で仲間への思いを語る。正木昌宣監督(42)やコーチ陣も「近年で最も一体感がある」とチームのまとまりに一目置く。

 「地元の友人、先輩、大人の方々、家族からの応援や数え切れないほどのLINE(ライン)のメッセージが力になっている。青森の人たちの思いを胸にプレーしたい」(鈴木)と臨んだ10日の一戦。Jリーグ下部組織の強豪・サンフレッチェ広島ユースを相手に試合終盤までリードを許す苦しい展開。それでも、後半45分に同点とすると、アディショナルタイム4分。米谷、小泉とパスをつなぎ、最後は津島が決勝ゴールを決めた。

 「青森県で18年間育ってきた。日本一になったことで県民に元気を与えられるのであればうれしい」と小泉。鈴木は「これまで積み上げてきたものを結果という形で多くの方に見せられたと思う」と笑顔で語った。

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