ヒトはどれくらい大きな音まで耐えられるのか?【図解 解剖学の話】

耐えられる限界は、近くの飛行機のエンジン音

「静か」と感じるのは、ささやき声

自分が好きな音楽が、ある人には騒音になってしまうように、人間にとって音は必ずしも心地のいいものばかりとは限りません。私たちの耳は空気が揺れてできた波を音として聞き取っていて、音波の振れ(振幅)が大きいほど、聞こえる音も大きくなります。この大きさに人体の感覚を加味したデジベル(dB)という単位を用いれば、さまざまなものごとの音量(音の強さ)が表せます。

たとえば、ささやき声は30デシベルで、思い切り大きな声は80 ~ 90 デシベルくらいです。日常生活で「静か」だと感じるのは45 デシベル以下が目安で、住環境として望ましいとされるのは40~60デシベルくらいです。それを超えるとうるさい音と感じ始め、80デシベルくらいの音を聞き続けていると食欲がなくなり、聴力障害になる危険性が高まります。ピアノや地下鉄の車内で窓を開けたときの音がこのくらいです。

150デシベル以上では鼓膜が破れる?

さらに大きい音としては100 デシベルで、車のクラクションや電車が通るガード下の音です。急に大きな音がして、びっくりする感じです。近くで飛行機のエンジンや雷が音を発したときの、耳が痛くなるような音はおよそ120 デシベル。このあたりがギリギリ耐えられる音の範囲です。これを超えると、鼓膜機能が異常をきたし、150 デシベル以上になると鼓膜が破れることがあります。また、イヤホンから音楽が漏れるような音量は、聴力障害になる危険性があるといわれます。

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気になる中身を少しだけご紹介!耳はどんなふうに働いて音を感じるの?

空気の振動を電気信号に変換させ聴覚を生む

いくつもの器官を通って脳に辿り着く

耳の最初の役目は、音を集めることで、そのはたらきをしているのは外側に張り出している「耳介」です。耳介は、音を集めるアンテナで形がぼこぼこしているのは、音を正確に聞き取るためだといわれています。音の正体は音波という空気の振動です。耳介で集められた音波は、外耳道を通り、その先にある「鼓膜」にぶつかると、今度は鼓膜を振動させます。振動は、鼓膜の先にある「耳小骨」というヒトの体のなかで最も小さい骨に伝わります。耳小骨の先には、渦巻き状の「蝸牛」があり、振動が伝わると、なかにあるリンパ液が振動し、蝸牛のなかにある有毛細胞をふるわせます。この有毛細胞はピアノの鍵盤のように音程順に並んでいて、感知した振動の内容を電気信号に変換します。それが神経を通って大脳に伝わり、音として認識されるのです。

耳が遠くなるのは、有毛細胞の衰えが原因

年を取っていくと、耳から入った音が脳に辿り着くまでの間に、さまざまな問題が発生するようになります。なかでも耳が遠くなる最大の原因は、蝸牛にある有毛細胞の衰えです。有毛細胞は蝸牛の入口に近いほど高い音、奥に行くほど低い音に反応するしくみになっていますが、どんな音も同じように入口から入ってくるので高い音を担当する細胞ほどダメージを受けやすくなります。そのためヒトは、年を重ねるごとに高い音から聞こえにくくなっていきます。

音波が聴覚に変わるしくみ

①音波が鼓膜に届き、鼓膜が振動する
②耳小骨が鼓膜の振動の力を増幅する
③ふるえが蝸牛のなかを巡り、電気信号に変わる
④電気信号が内耳神経を通って脳に伝わる

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