犬に『カルシウム』が絶対必要な理由5つ!成長にあわせた与え方や注意点に「食事内容見直してみよう」

犬に『カルシウム』が絶対必要な理由つ!

カルシウムは犬の体に多く含まれるミネラルのひとつです。カルシウムのほとんどは骨や歯を形成していて、細胞や血液に含まれるカルシウムはわずか1%になります。

細胞や血液のカルシウムが不足してくると骨から補充されていくため、必要量を摂取できないと骨折や低カルシウム血症を起こす原因にもなりかねません。カルシウムは体内で生成されることのない栄養素なので、食物からしっかり摂取する必要があります。

1.骨の歯の成長と発達

犬の骨と歯はカルシウムに健康を守られています。適切な量のカルシウムがないと骨の成長と発達が妨げられる恐れも。また歯の強度が低下してしまい、歯周病や口腔内の疾患のリスクが高まります。

2.筋肉の収縮

筋肉の収縮にはカルシウムが必要です。適切なカルシム摂取量がないと筋肉の収縮力が低下し、運動能力や体力が減退する可能性があります。

筋肉には体の様々な器官を動かす働きがあります。心臓も筋肉なので、カルシウムが低下してしまうと心臓も動かなくなってしまうのです。

3.神経伝達の正常な機能

カルシウムには神経を安定させてくれる作用があります。神経伝達の正常な機能にも関係しているため、体内のカルシウムが不足してしまうと神経伝達が乱れ、行動や学習能力に影響を与える可能性があります。

4.免疫機能

カルシウムは免疫機能にも関与しています。不足することで感染症や病気への抵抗力が弱まる可能性があります。

5.血液凝固

カルシウムは血液凝固にも関係するもの。不足してしまうと出血した際に血液が正しく凝固せず、出血が止まらなくなるリスクが高まる可能性があります。

犬にカルシウムはどのくらい必要?

犬の体の様々な生命活動に関与し絶対に必要なカルシウムですが、与えれば与えるだけ良いというものでは決してありません。カルシウムは過剰摂取でも病気の原因になってしまうもの。成長に合わせた必要量を与えることが重要になります。

1.犬に必要な一日のカルシウム量

犬に必要な一日のカルシウム量は、成犬では、242mg✕体重(kg)、子犬では484mg✕体重(kg)が必要摂取量の目安と言われています。犬は人間よりも10倍以上のカルシウム摂取が必要な生き物なのです。

愛犬が年齢に合わせた市販の総合栄養食を毎日食べているのであれば、一日に必要なカルシウムはしっかりと摂取できているので、更にカルシウムを与える必要はないでしょう。

2.犬が一番カルシウムを必要とする時期

犬が一番カルシウムを必要とする時期は、生後4ヵ月から成犬までの成長期になります。この時期は成犬の3倍の量のカルシウムが必要になるため、年齢に合わせた総合栄養食を与えてしっかりとカルシウムを摂取させましょう。

3.子犬や老犬は?

子犬に限ったことではありませんが、必要量以上のカルシウムを与えることは危険です。

特に子犬の頃にカルシウムを過剰摂取させてしまうと、骨の成長に異常が生じてしまうことがあります。市販の子犬用の総合栄養食はカルシウムの量を多く含んだ状態で販売されているため安心です。

老犬の場合、必要なカルシウムの量は20%ほど減少してきます。老犬の場合も年齢に合わせた総合栄養食を食べているのであれば、カルシウムが不足してしまうことはないので、サプリメントなどでカルシウムを与えると過剰摂取になる可能性があります。

年齢に伴い腎臓病を発症してしまった場合、腎臓から尿にカルシウムが排出してしまいます。このような症状があらわれる疾患の場合は、カルシウムを食事以外から補う必要があるので、獣医さんと相談しカルシウムの与え方を選択していきましょう。

カルシムの与えすぎにも注意

犬の体からカルシウムが不足してしまうと様々な異常を引き起こしてしまいますが、過剰に摂取しても病気の発症リスクが高くなってしまいます。

カルシウムを過剰摂取してしまった場合、亜鉛の吸収を阻害するため皮膚トラブルや脱毛など、亜鉛欠乏症のリスクが高まることも。また骨軟骨症や股関節異形成など、骨の異常やカルシウム結石に繋がる可能性もありまます。

まとめ

愛犬の年齢や健康状態に合わせた総合栄養食を与えているのであれば、カルシウムの必要摂取量はそれほど気にしなくても良いと思います。カルシムが多く含まれたオヤツを大量に与えることのないように注意しましょう。

手作りご飯の場合、食材からカルシウムを摂取すること難しくなります。カルシウムが不足しているようであれば市販のサプリメントを与える、またカルシウムが多く含まれる食材を与えるなど工夫してみましょう。

カルシウムは不足も過剰も良くありません。愛犬の年齢、体重、健康状態に合わせた適量を与えられるように注意しましょ。

(獣医師監修:平松育子)

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