災害・施設・営業情報を一元化、JATAが「観光産業共通プラットフォーム」を運用開始

日本旅行業協会(JATA)は12月1日、観光産業共通プラットフォームの本格運用を始めた。同プラットフォームでは災害、宿泊施設、営業の3つの情報を閲覧可能に。宿泊施設と旅行会社の業務を一元化して業界全体の生産性を向上するとともに、コロナ禍で顕在化した人手不足などの問題に対処し、将来の成長に資源を集中できる環境を構築する。12月8日に開いた定例会見では、JATAの野浪健一国内旅行推進部長が観光産業共通プラットフォームの意義について「旅行業界を見るとDX化に及ぶと言えない領域が多数ある。非効率的な業務を改善して生産性を上げ、付加価値につながる場所に人的リソースを充てられるようにする」と話した。

野浪部長## 災害、施設、営業の3つの情報を一元化

観光産業共通プラットフォームは、①災害情報共有機能②施設基本情報機能③営業情報通達機能-を有する。災害情報共有機能は今年7月から機能を稼働していた。

共通プラットフォーム導入による効果

災害情報共有機能は、これまで地震や水害等の災害発生時に、各旅行会社個別に行っていた宿泊施設への被害状況確認を、プラットフォームを介して一本化。宿泊施設は個別に対応を行う必要がなくなり、一回の被害状況登録で参画旅行会社に正しい状況を伝えることができる。宿泊事業者はスマホで簡易に被害状況を登録できる。

災害情報共有機能

施設基本情報機能は、これまで旅行会社毎に宿泊施設に対して、取得作業を行っていた施設基本情報(住所・電話番号・部屋数・部屋タイプ・施設内設備・風呂・アクセス情報等約 1,300 項目)をまとめたもの。これまでに各旅行会社が個別に取得していた情報を同プラットフォームから取得できる。

施設基本情報機能

営業情報通達機能は、これまで宿泊施設が一斉 FAX や一斉メールを介して発信していた「施設や設備のメンテナンスに関する情報」「イベントの実施情報」などの情報を同プラットフォームを介して着実に発信・通達できる機能。

営業情報通達機能## 目標は宿泊会社の登録件数が7000軒、利用する旅行会社が200社

現在、観光産業共通プラットフォームを利用している旅行会社は83社、宿泊施設の登録数は約5000軒ある。2023年度末には、旅行会社数は200社、宿泊施設の登録数は約7000軒を目指す。利用者については、旅行会社の登録があれば使用できる。地方自治体やDMOからも利用に関する要望が多く、依頼があれば随時対応する。

月額利用料金は、旅行会社側はシステム料金が発生。国内旅行取扱額に応じて1,000円から100万円に設定されている。現在は宿泊事業者は無料となる。

今後は、多言語化や観光施設などの範囲の拡大を検討している。「多言語化はテストしている。海外施設に関しては、まだ検討していない」と野浪部長。

共通プラットフォームTOP画面

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