「鉄拳8」製品版を体験!一八VS仁の物語、新キャラ・麗奈の試遊、プレイヤー視点のアーケードクエストなど盛りだくさん

バンダイナムコエンターテインメントより2024年1月26日に発売予定のPS5/Xbox Series X|S/PC(Steam)用ソフト「鉄拳8」。同作の製品版試遊レポートをお届けする。

本レポートでは、製品版相当のロムを用いて、三島家の物語を描いたストーリーモードにあたる「The Dark Awakens」、プレイヤー視点のストーリーモード「アーケードクエスト」、新キャラクターの麗奈のプレイフィール、池田氏・安田氏のインタビューなど盛りだくさんでお届けしていく。見出しから気になるところだけ見るもよし、頭から見ていくもよしだ。

■今回の主人公は仁!ハリウッド映画のようなスケールで繰り広げられるデビルの物語

最初に紹介するのは、鉄拳の物語を楽しめる「The Dark Awakens」。鉄拳の物語を知らない人向けに軽く概要をざっくり紹介すると、「デビル因子という超人パワーをめぐった親子三代の大喧嘩」である。

前作「鉄拳7」で三島平八と三島一八の闘いに終止符が打たれ、一八の息子である風間仁と三島一八の闘いが本作で描かれるというわけだ。仁の苗字が違う理由や、デビル因子とは?という部分は、語ると非常に長くなってしまうので今回は割愛。一八の目的は「世界を征服したい」、仁の目的は「デビルの血筋を根絶したい」と覚えておけば、十分楽しめるだろう。

さて、開幕はラースとリー、仁が登場し、三島財閥とG社の紛争地帯と思われる場面から始まる。先日の鉄拳トークライブでもお披露目された「仁がバイクでビルを駆け上り、一八の乗ったヘリに投げつける」というバイクアクションを披露。大破したヘリから悠々と現れる一八。仁も超人だが、一八も超人である。

そこから、仁と一八のバトルシーンへ移行。アニメーションからバトルへのシームレスな移行が印象的で、導入が非常にスムーズなので物語への感情移入がしやすかった。

基本的に、序盤のバトルパートでは仁(たまにデビル仁)を操作する訳だが、操作難易度の高い仁は筆者も使えない部類のキャラクターである。

だが、ストーリーモード中はワンボタンでコンボや連携を使用できるスペシャルスタイルを使えるので、割と操作に自信がなくてもどうにかなる。しかも、ストーリーモード中は距離などの条件で技を使い分けてくれる強化版スペシャルスタイルが使用できるので、初心者でも十分クリアできそうである。

特定の技を当てたときにセリフが入ったり、技の演出からアニメーションへと移行したり、前作からさらに演出面がパワーアップしている。レイジアーツを喰らったときや、特定のシチュエーションではQTEのように回避か反撃か選ぶ、といった新要素も見受けられた。

反撃を選ぶとダメージを与えた状態で試合がスタート。

ストーリーに話を戻すと、仁と一八はお互いにデビルの力を解放し激突する。だが、デビルは「欲望の力」が力の源となるため、世界征服という大望がある一八に敗北する仁。そして、一八は世界に向けて「闘争を忘れた人類のルールには従えない。俺の世界で生き残れるのは力を示せるものだけだ!」と宣言し、The King of Iron Fist Tournamentを開催するのであった。

今回、映像等を公開できるのはここまで。この後の展開も非常に面白く、個人的にはこれまであまり描かれてこなかったThe King of Iron Fist Tournamentの様子が細かく描かれていたのが面白い。あのトーナメントが地域ブロックの代表制とは知らなかった。

アリサやラースといった物語に関わりの深いキャラクターのみならず、ロウやポール、レオなどこれまで本筋には深く関わりがなかったキャラクターもトーナメントを通してしっかり出演する機会があるので、シリーズファンはぜひ一度遊んでみてほしいモードである。

■懐かしのアーケードシーンを再現!「アーケードクエスト」をプレイ

続いては、鉄拳プレイヤーの目線で物語が展開していく「アーケードクエスト」をレポートする。

アーケードクエストは本作からの新モードで、ゲームのストーリーとは別で、昔ながらのアーケード(ゲームセンター)の雰囲気が楽しめるストーリーモードだ。親友のマックスに鉄拳を教わりながら一緒に成長していく過程が楽しめるので、初心者の人が最初に遊ぶのに最も適したモードだろう。

まずは、オンラインロビーでも使用できるアバター作りからスタート。鉄拳といえば豊富なキャラクターカスタマイズが特長だが、本作のアバタークリエイトでも自由なカスタマイズが可能となっている。

衣装はもちろん、バックパックなども初期からカスタマイズ可能で、個性派からカッコいいキャラクターまで幅広く作って遊べるようだ。

ということで、ファンキー&インテリジェンスをテーマにキャラクターを作成してみた。アバターを作り終えると、マックスとともに大会観戦するシーンから物語がスタート。この大会は、現実世界にもある「鉄拳」の世界大会“TWT”の予選らしく、OROCHIなるスター選手が優勝した。

一八使いのOROCHI選手。本人がすでに一八っぽい雰囲気を放っている。

大会後は、主人公たちが拠点にしているゲームセンター「GONG」にも「鉄拳8」が入ったということで、早速遊びに行くことに。

「GONG」では、派手な技好きのビート、キャラクターカスタマイズ好きのプリム、どこのゲーセンにも一人はいる初心者キラーのニックという愉快なメンバーが仲間になる。

ここまで露骨な人はいないが、「いるよねー、こういうタイプの人」と言いたくなる見事な憎まれ役である。

“鉄拳博士”のマックスが本作の遊び方を教えてくれるということで、いわゆるチュートリアルパートへ。キャラクター選びからカスタマイズ、段位システムなど、バトル面以外についても丁寧に教えてくれる点が好印象だった。

流れで、本作のキャラクターカスタマイズを体験。本作から顔、服、アクセサリーと項目が分けられ、目や眉毛までカスタマイズできるようになっていた。いじれる項目がすごく多いため、ぱっと見では誰かわからないほどカスタマイズ可能だ。

ということで、筆者は昔から使っていたレオを選択し、カスタマイズに挑戦。レオは本作に至るまで性別不明という謎多きキャラクターだ。今回は、全体的にボーイッシュな服装でまとめることに(筆者は女性だと思っている)。

新要素である目のカスタムも結構印象が変わるものだ。

カスタマイズまで一通り済ませた所で、「段位を上げるために好きな人と対戦しておいで」と野に放たれた。ということで早速、筆者は初心者狩り屋・ニック君のハンティングへ向かった。

対戦中にもミッションがあり、達成できるとマックスが褒めてくれる。

数戦こなして段位を上げた所で、マックスから店内大会のお誘いがかかった。これは、実際のものと同様、店舗内で有志を募りトーナメントを勝ち上がっていくモード。CPUとはいえ、次の対戦相手をワクワクしながら待つ感じは“大会らしさ”があって面白かった。

決勝戦でニックを倒し、無事大会を優勝した。鉄拳プレイ初日で店舗大会優勝とは、とんだエースである。すると、なぜか会場に来ていたOROCHI選手が「生ぬるい対戦しかしていない偽物だ」と主人公たちを挑発し、「悔しければTWTに出場してみろ!」と一喝し店を出ていった。

急に現れてTWT出場選手であることを自慢しに来たOROCHI選手。意外とカワイイところがあるのかも。

そこから主人公一行は打倒・OROCHIを目標に修行をすることに。ここまでが、今回公開可能な「アーケードクエスト」のお話である。この修行の一環で、先日のレポート記事でも紹介した“スーパーゴーストバトル”が使用可能になる。

アーケードクエストをここまで進めないと解禁できないそうなので、ゴーストバトルをプレイしたい人はぜひ、一度本モードをプレイしておこう。

「俺、これよくやるよな~」と言いながらずっと遊べるゴーストバトル。

■麗奈のミニプレイレポート!初の女性三島系の使い心地は……?

試遊レポートの最後に、「初の女性で三島系のキャラクターか?」と話題になった麗奈の簡単なプレイレポートをお届けしていく。

麗奈は、三島工業高等専門学校に所属する学生。この学校は、創始者が平八でシャオユウや風間仁も所属していた学校で、劇場版の「ブラッド・ベンジェンス」では人体実験を行っている描写があったり、校長が平八その人であったりと、ストーリー上怪しさ満点の学校となっている。

彼女は「動画サイトで見よう見まねで覚えた」という三島流喧嘩空手と、躰道という武道をミックスして戦う。モーションアクターは、躰道家として有名な中野哲爾先生が行っており、特徴的な構えや足運び等から先生の技のキレが感じられた。

この特徴的な蹴り方はまさしく躰道の技。YouTubeなどで目にしたことがある人も多いのでは?

ゲームの性能的には、三島流らしい風神ステップを使った高機動と、躰道らしい回転を使ったフェイントと打撃が特徴となっている。

風神拳や下段主力技の奈落払い、投げのぱちきや発生の早い剛掌破など平八に近い技も多いが、金剛壁をはじめとした特殊な構えを経由する技も多い。使用感は平八というより一美に近かった。奈落からダウンが取れない点は平八譲りか。

こちらが主力技表。麗奈の風神ステップは斜め長押しという簡易入力がある。

総評として、小技の取り回しの良さは平八っぽく、大きな二択に行くときは一美のように構えを経由する、という感じのキャラクターのようである。最速風神拳が使える一美、という感じだろうか。

ショートアッパーやジャブなど小技の取り回しがよく、一八や仁とは違った攻め方ができる三島系キャラクター。発売後、ぜひ一度は触ってみてほしい。

■池田ディレクターと安田氏にインタビュー

最後に、「鉄拳」プロジェクト マーケティングプロデューサーの安田イースポーツ氏、「鉄拳8」ゲームディレクター 池田幸平氏への簡単なインタビューの模様をお届け。気になるトピックがないか、ぜひ最後まで目を通していってほしい。

池田幸平氏(写真左)、安田イースポーツ氏(写真右)

――リプレイを見ながらプラクティスができる新機能を導入したきっかけを教えてください。

池田:自分も格闘ゲームプレイヤーなので、どこが悪かったのかをすぐに確認したいと思ったのがきっかけです。

そこから、攻略のポイントをリプレイの中で教えてあげたいという風に思った訳です。リプレイからプラクティスモードに移動するのは手間ですから、攻略を見ながらプレイヤーに練習できる環境を与えたい、というのがこのシステムの発想ですね。

本作から、リプレイからシームレスにプラクティスが可能になっている。

――リプレイ中に表示されるコマンドはスペシャルスタイルではなくアーケードスタイルですが、スペシャルスタイルで表示できるようにはなるのでしょうか?

池田:スペシャルスタイルはあくまで本来のアーケードスタイルで楽しんでもらう下地と考えていますが、そういった要望が多ければ検討いたします。

安田:あくまで初心者の方が鉄拳の魅力をわかってもらうためのもの、と考えていただければと思います。

池田:なので、少し手間ですがスペシャルスタイルを併用したい人はTIPSが出たときに切り替える、という風に使っていただければと思います。また、アーケードクエストがアーケードスタイルの練習場として機能すると思いますので、1から遊ぶ人はアーケードクエストを遊んでいただければ上達につながると思います。

安田:鉄拳を始めたばかりの人が空中コンボを決めるのってすごく難しいと思うんですよね。ですが、スペシャルスタイルでそういった少し上のテクニックを先取りして体験する機会を提供できると思います。

――本作から「鉄拳」を始める人向けに、ストーリーをより楽しめる用語集のような補完はあるのでしょうか?

池田:用語集はないのですが、本作のギャラリーの中には「鉄拳1」から「鉄拳7」までのダイジェストムービーが入っています。そちらを見ていただくとストーリーが大体把握できると思います。

安田:……用語集欲しいですかね? 30周年なので用語集作りましょうか(笑)! ストーリーって、原田の頭の中にはあるのですがちゃんと言語化されていなかったので、「鉄拳8」を作るにあたってまとめたんですよ。これを、ユーザー向けに公開して良いのかもなとは思いました。ストーリーの蓄積が膨大なので、原田もうろ覚えの部分がありますからね(笑)。

――少しマニアックな質問ですが、麗奈が躰道を使ったり、ヴェクターがカランビットナイフを使ったりしますが、格闘技や武道の流行的なものを積極的に取り入れているのでしょうか?

池田:流行というわけではなく、「鉄拳」は昔からファランのモーションはテコンドー世界王者であった黄秀一氏が担当していたり、キングのモーションはプロレスラーの鈴木みのる氏が担当していたりと、本格的な格闘家・武術家のモーションをキャプチャーしています。今回、麗奈の場合はスピード感がありつつ、体のしなやかさなどがマッチしていると考え、躰道がいいのではないか、という風にメイキングされています。

安田:キャプチャーできない格闘技のキャラクターは作れませんからね。「1000年前に存在したとされる伝説の格闘技の……」みたいなキャラクターを作ろうとしても、鉄拳的には作れないんです。逆説的に、流行ってるから作ったというより、存在しているから作れたという感じですかね。

――本作では、拳銃やヌンチャク、ミサイルなど拳以外のファイトスタイルが追加されているように感じますが、これはどういった狙いがあるのでしょうか?

池田:これは明確にあります。長年シリーズが続いていると、どうしても性能が似てしまったり、似たような技が多くなってしまいます。結果、角が取れてしまっていたと。そこで、「ロウがヌンチャク持ってたよね」とか「スピンオフ作品の『デス バイ ディグリーズ』(※)でニーナが銃持ってたよね」というように、歴代のシリーズのなかで培われた個性や特徴をバトルに落とし込んだ方がより面白くなるんじゃないかと考えた結果になります。

※2005年1月27日に発売されたPS2用ソフト。ニーナ・ウィリアムズを主人公とするスピンオフ作品。

そういった武器などがないキャラクター、例えばキングはより投げ技を増やしたり、投げに行けるルートを増やすことでキャラクターの個性をとがらせてリビルドしています。ほかには、飛鳥の強化状態・“浪花の気焔”なども、飛鳥は見た目に反してパワーファイターであることを押し出したリビルドの一環です。

安田:さらに、ヒート状態を使うとより個性が強化されますからね。個性をとがらせることで、よりアグレッシブに戦ってもらうコンセプトに沿った開発になっています。

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