多様な人が店主となってお薦めの本を紹介する無人の古本店が、富山県滑川市田中新町の中滑川複合施設「メリカ」にオープンした。店名は「売薬さんの本棚」。行商で全国各地を訪ね、それぞれの土地で知った文化や風習を伝えてきた“売薬さん”をイメージし、1人当たり薬箱二つを本棚として使う。企画したメンバーは「本を通して出店者の人柄を知ることができ、面白い」と話す。
滑川市が委嘱している「なめりかわアンバサダー」の相川知輝さん(東京)、神奈川から移住してきた中川彩さん(滑川)、NPO法人立山クラフト舎理事の村上和博さん(立山)が企画した。日常生活で出合う機会が少ない分野の本に触れることで、訪れた人が可能性を広げる場にするのが狙いだ。
現在は飲食店のオーナーや写真家ら県内外の15人が出店。小説やビジネス、専門書などが並び、販売価格は出店者が決めた。市内の配置薬業者から譲り受けた薬箱を本棚に活用し、配置薬業で栄えた滑川らしさもアピールしている。
フードアナリストでもある相川さんは食に関する本を紹介。「趣味を突き詰めた人やその道のプロが薦める本には、普段目にしない一冊がある」とし、「人や店に興味を持つきっかけにしてほしい」と期待する。
本の代金はメリカの管理人事務所で支払う。年明けには同市のボードゲームカフェ「あんでじ」にも本棚を設ける予定だ。
出店希望者は公式ホームページから申し込む。出店料は最初の3カ月は無料で、4カ月目以降は月額(大人2千円など)が必要。