動機、複数要因か 容疑者「母とトラブル」 茨城・役所車突入

男が運転し、東海村役場に突っ込んだ乗用車=6日午後1時40分、同村役場

茨城県の日立市役所前広場と東海村役場に車が突っ込み3人が重軽傷を負った事件で、村役場への建造物損壊容疑で逮捕された男(53)が、「母親とトラブルになった」という趣旨の供述をしていることが12日、捜査関係者への取材で分かった。事件は13日で発生から1週間。男は「臨界事故で健康被害を受けた」「村に恨みがあった」とも供述しており、県警は複数の要因が犯行動機になった可能性があるとみて調べている。

事件は6日午後1時ごろに発生。黒い車が市役所前広場のイベント会場に突っ込み、出店のテントをなぎ倒しながら暴走。駐車していた車両3台に衝突した後に反転し、男女3人をはねて重軽傷を負わせた。約30分後には、約15キロ離れた東海村役場の正面玄関にも白い車が突っ込んだ。

県警は同日、運転していた男を逮捕。県警によると、市役所前広場に突っ込んだことも認めている。自宅近くの駐車場では車両前部が損傷した黒い車が見つかっており、乗り換えて村役場に向かったとみられる。

市役所前広場に突っ込んだ際は、助手席に母親が同乗していたとされ、捜査関係者によると、母親は「(事件を)止めようとしたが、止められなかった」などと説明。男が母親とのトラブルに言及していることから、県警は母親から事情を聴くなどして裏付けを進めている。

男はこれまでの調べに対し、「臨界事故で健康被害を受けた」とも供述。関係者によると、核燃料加工会社ジェー・シー・オー(JCO)で1999年9月に起きた臨界事故当時は同社近くに住んでいたという。

同社によると、事故後に男と同じ名前の人物が、事故で休業したとして経済補償を求めていた。健康被害についても2016~19年ごろ、補償を求める電話が5回あったが、補償は認められなかったといい、県警が関連を調べている。

捜査幹部は、動機について「現時点でははっきりしない」としており、さらに確認が必要との見方を示した。

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