災害派遣福祉チーム「大分DWAT」メンバー育成に力 障害者らの避難生活支援【大分県】

DWATの研修会で、避難者支援に求められる視点を考える福祉関係者ら=9月、大分市大津町

 避難所などで高齢者や障害者の健康や生活を支える県災害派遣福祉チーム・大分DWAT(ディーワット)の活動が本格化している。発足から5年で認知度が徐々に上がり、今夏は大雨で被災した日田市の要請を受けて初めて現地に派遣された。事務局を担う県と県社会福祉協議会は「頻繁に災害が起きる中で、福祉的な視点の備えも必要になっている」として、メンバーの育成に力を注ぐ。

 DWATは、災害時に避難生活を送る高齢者や障害者、子どもら要配慮者に接して福祉的な支援の必要性を判断したり、避難所の住環境の改善をしたりする。介護福祉士や社会福祉士、看護師など民間の専門職で構成する。

 2011年の東日本大震災や16年の熊本・大分地震では避難が長期化し、災害関連死や持病悪化といった二次被害が起きたことから全国で設置が進み、現在は46都道府県に組織がある。大分県は18年12月に発足し、53法人、264人が登録している。

 7月の大雨の際には、最大23世帯・44人が身を寄せた日田市の複合文化施設アオーゼに県がDWATを派遣した。計17日間、29人が交代で現地に入った。

 「体力の低下やコミュニケーションの減少で、避難者の精神的な負担が大きくなっていた」と参加したメンバー。持病や障害のある要配慮者を中心に血圧や服薬の状況、体調の変化を毎日聞き取った。寝具の手配や体操の指導などもした。

 県や県社協は26年までに70法人、310人の登録を目指し、人材育成を進める。大分市で9月に開いた福祉施設職員らを対象にした研修会には約30人が参加。避難所で求められる福祉ニーズや対応の仕方を学んだ。年明けにも別の研修を予定する。

 県社協の災害ボランティア・福祉支援センターの森美菜子副所長(31)は「大規模災害になれば、避難生活はさらに大変になる。被災者の困り事を少しでも軽減できるよう、サポート態勢を整えたい」と話した。

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