CEC日記【京都・八幡市(石清水八幡宮周辺)】 

「神と仏」が集まるディープな地 神仏習合ー石清水八幡宮の成り立ちー

八幡市に聳える男山に鎮座する石清水八幡宮。古来より国家鎮護の社として栄えてきました。今でこそ神社として知られる石清水八幡宮ですが、かつての名前は石清水八幡宮護国寺。つまり“神社”であり“寺”であったのです。このような信仰の融合の中に石清水八幡宮の歴史はありました。

しかしながら明治期における神仏分離により、この地の仏教施設の多くは取り壊され地蔵や仏像も移動を余儀なくされました。その一部である八幡大菩薩像や宝冠阿弥陀如来像等は石清水八幡宮の麓にある善法律寺でみることができます。

古くより日本人の心の拠り所であった、神と仏。それらは今もここ、八幡の地に鎮座し我々を見守っているのです。

石清水八幡宮一ノ鳥居 八をよくみると“鳩”になっています。

「水」が集まるディープな地 ー巨大河川とともに生きるー

“水が集まる”とは?と思った方も多いかと思います。

これは八幡市を流れる川に関係しています。ここ八幡市は木津川、宇治川、桂川という三本の巨大河川が合流する地です。これを“三川合流”と言い、全国的にも非常に珍しいことで知られています。そして、この合流地点が「淀川」の始まりです。この三つの川の豊かな流れは古くから人々に水をもたらし、農地を潤し、船による輸送を可能にするなど、周辺一体の発展と密接に結びついていました。

“水”に関連して、まち歩きの中で注目していただきたいのは石清水八幡宮周辺に建つ古い家の基礎です。よく見て頂くと、古い建築の家は石積みで嵩上げされた上に建っていることがわかります。これは水害の多い土地に暮らした人々が、嵩上げすることで少しでも浸水の被害を避けようとしたということを示しているのです。

いつもよりちょっとだけ、当たり前のありふれた景色に疑問を持って街を歩いてみるのも面白いかもしれませんね。

「人」が集まるディープな地

最後は“人が集まる街“です。

石清水八幡宮は古くから信仰上極めて重要な地であり、多くの人がこの地を訪れました。加えてこの周辺は京都―奈良間、京都―大阪間の交通の要衝であり、多くの人がここを起点にして旅をしたとされています。

人が集まる様子は、かの有名な徒然草の「仁和寺にある法師」の中からも感じることができます。おっちょこちょいな仁和寺の法師が訪れたのがズバリここ、石清水八幡宮です。しかしこの法師、あろうことか山の麓にある高良社を石清水八幡宮の本殿と勘違いして帰ってしまいました。それを聞いた兼好法師は、“先達”=その地に詳しく、先導してくれる人の重要性をしみじみと感じたと言うお話です。

男山の麓にある“高良神社” 言及不要の美しさ。

この善法律寺は、金閣寺を創建した足利義満の母・良子の菩提寺。

石清水八幡宮は今日においても“やわたのはちまんさん”と呼ばれ親しまれています。さらに周辺には紅葉の美しい善法律寺、日本において初めて飛行原理を発明した二宮忠八をお祀りする飛行神社、1764年創業の岩清水八幡名物走井餅のやわた走井餅老舗など、様々な見て楽しい、食べて美味しいスポットがあります。

皆さんもそんな素晴らしい街、八幡市・石清水八幡宮周辺を訪れてみてはいかがですか。

この記事が皆さんにとって“先達”となり、豊かな旅の一助となれば幸いです。

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