「状況はかなり深刻」 松くい虫被害22倍 沖縄・久米島町、21年度から拡大続く

 【久米島】松くい虫被害が2021年に初確認された久米島町で、今年9月末時点の被害量が4946立方メートルとなり、21年度の約22倍に拡大していることが11日、分かった。県や町は、根絶は現実的には難しいとの認識で「国指定天然記念物の久米の五枝のマツ、景観上重要な場所などを重点的に守っていきたい」としている。

 発生当初の21年度は島の中心部「だるま山」など山深い場所で確認され、被害量も219立方メートルだった。だが、昨年ごろから集落の周辺などでも確認できるようになったという。

 リュウキュウマツが豊富に生え、健全な個体の多いことが被害拡大につながっている。22年度は2373立方メートルだった。

 道路沿いの枯れたリュウキュウマツの枝が折れたり倒れるなどし、児童生徒や車両などに被害が出ないかとの懸念も出ている。町は「状況はかなり深刻。自然が失われると観光にも影響するし、マツの枯れた場所で土砂崩れが起きないかも心配だ」と話している。

 県議会11月定例会で當間盛夫氏(維新・無所属の会)の一般質問に前門尚美農林水産部長が答えた。(南部報道部・又吉健次)

枝が赤く枯れたリュウキュウマツ。以前は山中に限られていた松くい虫によるの被害が低地に広がっている=10月5日、久米島町山城

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