食料安保へ条例案 いばらき自民 2024年春、県議会に提出 茨城

食と農に関わる条例案の主な施策

茨城県議会会派いばらき自民党は12日、食料の安定供給や持続可能な農業経営を促す条例案をまとめ、来年3月の第1回定例会に提案する方針を固めた。国際情勢の変化や気候変動による災害など食料の安全保障が重要課題となる中、茨城県農業の構造転換や生産基盤強化、担い手確保などに向けた体系的な取り組みを促す。

条例案は「県食と農を守るための条例」(仮称)。ロシアのウクライナ侵攻に伴う輸出制限や気候変動による災害激甚化などを背景に食料安全保障の必要性が高まる中、茨城県農業の経営を安定化させ、食料自給率を向上するための基本的施策を盛り込んだ。

基本理念に「茨城県農業と農村の持続的発展」「県民の豊かな食生活実現」を掲げる。基本施策として、農畜産物の安定供給▽持続可能な農業推進▽農地有効利用▽生産基盤の総合的整備▽水田農業に対する支援強化▽多様な担い手確保と育成▽女性の参画促進-など計17項目を挙げ、項目ごとに取り組むべき内容を定めている。

農畜産物の安定供給では、海外への依存度が高い肥料や飼料などの資材に対する国内生産を促す。国際情勢に左右されにくい農業構造への転換のほか、需要に応じた生産体制の強化や生産工程管理認証(GAP)の取得を推進する。

持続可能な農業では、化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術の抑制を基本に、環境負荷を低減した有機農業を推進。農作物生産者と畜産農家の耕畜連携による堆肥の広域流通を通し、資源循環型農業を促す。

担い手確保として技術習得や経営管理を支援するための施策展開を盛り込んだほか、農業経営の安定化へ相談体制を強化する。

こうした食料や農業に関する計画的な施策は、県が国や市町村と連携して策定、実施する責務を定めた。農産物に対する安全性の意識や正確な情報提供、地産地消への理解など、農業者や関係団体、食品事業者、県民の役割なども明確化している。

いばらき自民党は今夏以降、長寿社会に備えた健康づくりに関する条例案とともに、それぞれプロジェクトチームを立ち上げ議論を重ねてきた。両条例案を来年3月に開会予定の県議会第1回定例会へ提案し、制定を目指す。

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