美術PRできるタクシー運転手に 青森市協会、県立美術館で研修会 

観光客へのPRの仕方などを考えながら「アレコ」の背景画を鑑賞するタクシー運転手ら=青森市の県立美術館

 青森市タクシー協会(珍田裕之会長)は12日、同市の県立美術館で、市内の事業所や個人乗務員ら所属会員を対象に美術研修会を開いた。日頃ハンドルを握る運転手たちが展示作品の見どころなどを学び、乗客への有益な情報提供や観光PR力の向上に努めた。

 コロナ禍が落ち着き、年末年始の帰省客が増えると見込まれる今冬の観光案内の一助になればと、協会が県美に研修を打診して実現。「県立美術館、観(み)て聴いて教える講習会」と題して開催した。

 研修には運転手約60人が参加した。県美広報の唐牛雅範主幹が美術館の概要や特徴、展示内容をまとめた資料を基に説明。基本情報のほか「奈良美智氏の『あおもり犬』は冬期間、雪が頭にかぶった様子をユーチューブで配信する」「奈良氏の『森の子』は麻布台ヒルズなど世界数カ所に展示されているが、県美が『長女』」などマニアックな話題も紹介した。

 参加者は、シャガール作の全4幕の舞台背景画が展示されている「アレコホール」や常設展示室を巡り作品を鑑賞。乗務歴10年余という横山洋一さん(71)は「これまで訪れる機会がなく知識もなかったので、見ることができたのはいい経験になった。言葉で説明して乗客に興味を持ってもらえるようにしたい」と話した。同協会の齋藤敏春専務は「乗務員には見どころを伝えられる知識を習得し、もてなしの心で案内できる会話術を高めてほしい」と期待を込めた。

 研修は14日まで。会員約140人が受講する。

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