ナマコどっさり、2年ぶり桁網漁 青森・横浜町沖

2年ぶりの桁網漁が行われ、次々と水揚げされる横浜町沖のナマコ=12日午前8時半ごろ、横浜漁港

 「こんなに入るとは思わなかった!」。横浜町沖の陸奥湾で12日、専用の網を使って海底のナマコを引き揚げる「桁網(けたあみ)漁」が2年ぶりに行われた。ナマコの不漁やホタテの高水温被害、中国の水産物輸入停止措置など同湾の漁業を取り巻く環境は厳しいが、この日は上々の漁獲量。漁師たちに笑顔が広がり、横浜漁港に活気が戻った。

 「横浜なまこ」は特許庁の地域団体商標に登録されている同町のブランド。例年、年末に桁網漁を行い、正月の食卓を彩ってきた。近年は漁獲量が減少し、昨年は資源保護のため中止に。町の漁業を支えるホタテも今夏の高水温でへい死が増えた。

 町内では近年、ホタテ、ナマコ以外にツブやトゲクリガニ、カレイ、ヒラメを取って、生計を成り立たせている漁師も多いという。

 蛯澤優介さん(42)は午前6時45分から1時間ほどの漁で、10キロ入りのたる15個分を取った。「将来を考えると、昨年は中止で正解だった。でも、今年はホタテのへい死もあり、厳しい。漁師にとってナマコは『冬のボーナス』。いい年末を迎えられる」。安堵(あんど)の表情を浮かべ、たるをトラックに積み込んだ。

 町漁協によると、同日は69隻が出漁し、水揚げ量は加工用の大型ナマコを中心に全体で約11トン。ただ、1キロ当たりの価格は中国の水産物輸入停止措置で、例年より千円ほど安いという。

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