「最悪の管理体制」組合員から批判も 元従業員らのリンゴ盗難事件、つがる弘前農協(青森県)が説明会

リンゴを生産・出荷する組合員(手前)に謝罪する天内組合長(正面奥・左から2人目)ら農協幹部、職員ら=12日午後5時、弘前市の岩木りんごプラザ

 6月に青森県弘前市悪戸のつがる弘前農協河東地区りんご施設で発生した元従業員らによるリンゴ盗難事件を巡り、同農協は12日、市内4カ所で組合員説明会を開いた。天内正博組合長は冒頭、「多大なる迷惑と心配をかけた」と謝罪した。リンゴを生産・農協へ出荷する組合員からは「ありえない在庫管理」「出荷量を減らす」と農協の不備を厳しく指摘する声が相次いだ。

 元従業員3人を含む5人の被告は、6月4~9日に共謀して同施設からリンゴ計720箱(時価合計約382万円相当)を盗んだとして、今月4日と6日に青森地裁弘前支部で行われた判決公判で、執行猶予付きの有罪判決を受けた。

 また、一連の公判では、盗みが約3年前から常習的に行われ、被害額は計1億4千万円に上ることも明らかに。農協は目視による在庫管理などによって不正を見抜けなかったと管理の落ち度を認め、再発防止策を講じるとしている。

 説明会は約40人の生産者が参加し、冒頭以降は非公開で行われた。

 取材に対し、組合員の男性(44)は、農協が被害額を説明した際、裁判で明らかになった金額を根拠としたことを指摘。「犯人の話からしか被害を把握できないのはおかしい。いくら盗まれたか分からないという在庫管理は会社として成り立っていない」とあきれた様子だ。組合員の山本悠介さん(43)も「苦労して収穫したリンゴなのに、被告の申告でしか盗まれた量を把握できないことに裏切られた思い」。岩木地区の組合員男性(60)は「最悪の管理体制。もっと盗まれていてもおかしくない。(来年以降)農協への出荷を減らす」と厳しい表情で語る。

 別の組合員男性(66)は「(謝罪や再発防止策で)誠意は感じた。追加精算や補償があるのか心配だ」と話した。

© 株式会社東奥日報社