忘・新年会「実施率」は55.9% 10月調査から1.5ポイント上昇

2023年12月「忘・新年会に関するアンケート」調査

ことし5月に新型コロナウィルス感染症が5類に移行してから、初めての忘・新年会シーズンに突入した。
コロナ禍で自粛が広がった忘・新年会だったが、今シーズンの実施率は55.9%にのぼることがわかった。前回調査(10月)の54.4%から1.5ポイント上昇した。10月時点では動向を慎重に見極めていた企業が、忘年会の開催に舵を切ったとみられる。
ただ、4割以上の企業では開催しないことが確実な情勢だ。企業主導の忘・新年会は、飲食店には重要な収入源だが、コロナ禍を契機に変化した環境は来年以降も継続する可能性がある。一方で、友人や仲間との小規模の忘年会への移行は進んでいるとみられる。コロナ禍前には企業の宴会や二次会の需要に支えられてきた飲食店や納入業者は、戦略の再考が避けられない。

アンケート結果では、「コロナ禍前(2019年末、または2020年初)も実施しており、今回(2023年末、または2024年初)も実施する」は34.9%だった。その理由(複数回答)について尋ねたところ、「従業員の親睦を図るため」が87.1%、「従業員の士気向上のため」が58.5%に達した。前回調査では、それぞれ87.0%、53.2%だった。
コミュニケーション手段としての忘・新年会は一定程度戻ってきた。だが、コロナ禍を契機に、会社や部署の全員が参加する宴会は、あり方を考える時期も迎えているようだ。

※ 本調査は、2023年12月1日~11日、企業を対象にインターネットによるアンケート調査を実施し、有効回答4,905社を集計、分析した。
※ 資本金1億円以上を大企業、1億円未満(個人企業等を含む)を中小企業と定義した。
※ 前回調査は2023年11月1日公表(調査期間は10月2日~10日)。


Q1.貴社は、2023年末の「忘年会」、または2024年初の「新年会」を開催しますか?コロナ禍前(2019年末の「忘年会」、または2020年初の「新年会」)との比較で回答ください(択一回答)

今シーズンの忘・新年会 「実施」は55.9%
最多は「コロナ禍前(2019年末、または2020年初)も実施しており、今回(2023年末、または2024年初)も実施する」の34.9%(4,905社中、1,715社)。また、「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」は20.9%(1,028社)で、今シーズンに忘・新年会を「実施」は合計55.9%と過半数を超えた。
一方、「コロナ禍前は実施しておらず、今回も実施しない」は25.4%(1,246社)、「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」は18.6%(916社)で、今シーズンは「実施しない」は44.0%だった。

Q2.Q1で「コロナ禍前も今回も実施する」と回答された方に伺います。実施する理由は次のどれですか?(複数回答)

「従業員の親睦」が約9割
コロナ禍前から変わらずに実施する理由を聞いた。
最も多かったのは「従業員の親睦を図るため」の87.1%(1,709社中、1,490社)。次いで「従業員の士気向上のため」の58.5%(1,000社)だった。「会社の定番行事のため」は37.6%(644社)にとどまった。
規模別では、「従業員の士気向上のため」と「会社の定番行事のため」との回答割合は、大企業より中小企業が高かった。
「その他」は、「協力会社への御礼」(建設業、資本金1億円未満)、「従業員からの要望」(自動車整備、資本金1億円未満)など。

Q3.Q1で「コロナ禍前は実施、今回は実施しない」と回答された方に伺います。実施しない理由は次のどれですか?(複数回答)

「開催ニーズが高くない」が6割超
コロナ禍前から一転し、今シーズンは実施しない理由を聞いた。
最多は「開催ニーズが高くないため」の62.3%(865社中、539社)。次いで「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」の37.5%(325社)だった。
規模別では、開催ニーズや従業員の抵抗感をあげる割合は、中小企業より大企業が高かった。一方、労務管理や費用面を理由とする割合は中小企業が高かった。
「その他」では、「インフルエンザ流行のため」(鋼材加工、資本金1億円未満)など、感染症への懸念を示す声も多く寄せられた。


忘・新年会のシーズンに突入した。実施率は55.9%で、前回調査(10月)から1.5ポイント上昇した。設問内容が異なるため参考値だが、昨年同時期の実施率は28.8%(第2回・2022年「忘・新年会に関するアンケート」調査、2022年12月13日公表)だった。新型コロナの5類移行で、企業主導の忘・新年会は急速に回復している。
一方、開催しない企業も44.0%にのぼる。新型コロナだけでなく、猛威を振るうインフルエンザなど、感染症への警戒を理由にあげる企業も少なくない。働き方改革が進み、多様な働き方・生き方が浸透するなか、業務時間の後に何を優先するかはより多彩になっている。
忘・新年会の開催だけでなく、企業が従業員のニーズに向き合うことがより重要になっている。

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