毎月の振込手数料ムダ払い、クレジットカードのポイントもらいそびれ……「自動引落し」見直しで年40万円得する!

光熱費はクレカ払いに切り替え(写真:PIXTA)

「家計管理は、お金の流れがポイントです。たとえば“生活口座”に給料が振り込まれたらすぐ“ためる口座”に先取り貯蓄。ためる口座には生活費の3~6カ月分を備えとし、残りは“増やす口座”でお金に働いてもらいましょう」

そう話すのはファイナンシャルプランナーの黒田尚子さん。確かに理想的だが、実際は光熱水費やクレジットカード(以下、クレカ)の引落とし口座がバラバラで、お金の動線が混乱している人も多い。

ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんはこう話す。

「家計相談を受けていると、間違った思い込みなどでお金が迷走している人がいます。もっと楽でお得な方法があるのに、ムダな手数料を払っているなど、もったいない人も意外と多いのです」

毎月同じ流れを繰り返していると、いつしか当たり前になり、問題点が見えづらくなるという。

実際、家計の問題にはどんなものがあるのだろう。

「光熱水費などの引き落としやネット証券での投資のために、毎月、預け替えをする人がいます。平日日中に給与口座から出金し、それぞれの金融機関に入金すれば手数料はかかりませんが、正直面倒。なので給与口座から他行に振り込むと思いますが、みずほ銀行なら手数料は220円。毎月だと年2千640円のムダです」(高山さん)

「『今ならポイント〇倍』につられて不要なクレカを作る、『〇〇ポイント進呈』にのせられて手数料の高いリボ払いを選ぶなど“目先のお得感”に弱い人は要注意です。直感で飛びつかず、デメリットを吟味しましょう」(黒田さん)

効果の大きい見直しは?

「節約額が大きいのは保険の見直しです。子どもが独立したら、大きな保障の生命保険は不要。保障の重複の整理でも保険料は減額に。

また、支払いをクレカに一本化すると、明細でお金の流れも一目瞭然。ポイントもたまり、月3万円以上の節約にも」(高山さん)

「お金だけでなくムダな時間が減る効果もあります。口座間の預け替えやたくさんのクレカを管理する手間がなくなれば、楽しいことに時間が使えますよ」(黒田さん)

では実際の事例を見ながら、節約効果を見てみよう。

■CASE 1

転職して給与が振り込まれる銀行が変わったが、光熱水費の引き落としは以前の口座のまま。毎月、振込手数料を払って他行口座への預け替えをしている。

【見直し点】

○他行口座への振込手数料
○光熱水費がまだ口座引落とし

【解決策】

口座引落としをやめて、光熱水費の支払いを1枚のクレカに集約する。振込手数料220円が不要。電気代などの口座振替割引(55円/月)は廃止の方向(北陸電力’24年4月~、東京電力’24年10月~廃止など)なので、クレカ払いのポイントのほうがお得。クレカの利用明細でお金の流れもスッキリ。

【得する金額】

振込手数料220円×12カ月=年2,640円が浮く。また、光熱水費が月3万円なら、クレカ1%のポイント還元で月300ポイント、年3,600円相当が得。

合わせて6,240円の得

■CASE 2

知人にすすめられるまま、気づけば死亡保険金3000万円の生命保険や、医療保険、がん保険など複数に加入。保険料の総額は月約5万円にもなっていた。

【見直し点】

○医療保険とがん保険、生命保険の医療特約など、保障内容の重複
○夫の生命保険の家族特約とも重複している可能性
○すべてが口座引落とし

【解決策】

子どもが独立したら大きな保障はいらないうえ、夫の保険の家族特約があるので、妻名義の生命保険を解約。入院給付金が5日目から支給などの古いタイプの医療保険を解約。がん特約のついたシンプルな医療保険に一本化し、重複するがん保険を解約。保険料をクレカ払いに。

【得する金額】

生命保険の解約で保険料の月18,000円がゼロに。医療保険、がん保険の解約や見直しも含めると、保険料は月3万円減額できたので、年36万円が浮く。残り月2万円の保険料をクレカ払いにすると1%のポイント還元で月200ポイント、年2,400円相当が得。

合わせて362,400円の得

■CASE 3

つみたてNISAをネット証券で投資中。毎月、給料が入金される大手銀行の口座から、証券口座への送金に振込手数料がかかっている。

【見直し点】

○口座間送金の振込手数料
○NISAつみたて金の口座引落とし

【解決策】

’24年1月スタートの新NISAはクレカ投資がおすすめ。現在クレカ投資の上限は月5万円だが、’24年以降月10万円になる見込み。証券口座からの引き落としをクレカ投資に変えることで、送金の手間も振込手数料も不要になるうえ、クレカのポイントも付く。

【得する金額】

振込手数料220円×12カ月=年2,640円が浮く。毎月5万円をクレカ投資するとポイント1%還元で月500ポイント×12カ月=年6,000円相当の得。

合わせて年8,640円の得

■CASE 4

「いまならポイント〇倍+ノベルティをプレゼント、発行するデパートでの買い物はいつでもポイント8%還元」などにのせられ、クレカを多数保有中。

【見直し点】

○クレカの年会費

【解決策】

クレカは定期的に見直し、使っていないものは解約を。クレカが多いとポイントが分散し、たまりづらいため、メインとサブの2枚持ちを基本に。なかでもデパート系クレカの年会費は、1年目は無料でも2年目以降は年2,200円かかるものが多い。ポイント還元率が高くても利用が少ないと年会費のムダ。不正利用のリスクも。

【得する金額】

解約すると年会費が不要に。デパート系だと1枚あたり年2,200円浮く。

年2,200円の得

■CASE 5

ポイ活中に「3万円以上のリボ払いで5,000㌽進呈」キャンペーンを発見。10万円の買い物をクレカのリボ払いにした。ポイントがもらえるうえ、自分へのご褒美が月々5,000円なんてサイコー! と思っている。

【見直し点】

○リボ払いの手数料

【解決策】

リボ払いの手数料は15%が一般的。100,000円を毎月5,000円ずつ払うと、手数料総額は11,831円になり(支払方法による)、キャンペーンで5000ポイントもらっても損。リボ払いを続けると総返済額や完済の時期がわからなくなる利用者も。リボ払いはやめ、早々に全額繰上げ返済を。クレカ払いは一括か手数料無料の2回分割までに。

【得する金額】

このケースの手数料総額は11,831円。キャンペーンでもらった5000ポイントを差し引いても6,831円浮く。
合わせて年6,831円の得

■CASE 6

楽天市場でのネットショッピングが大好きだが、キャッシュレス決済は「PayPayを使う友達が多いから」PayPayを利用。クレカは「たくさん持つと家計管理が面倒だから」、キャッシュレス決済に合わせたPayPayカードをネットショッピングでも使っている。

【見直し点】

○主な買い物先とマッチしない決済サービス

【解決策】

まず決済サービスごとに毎月の利用額を整理して比較し、もっともよく使う決済サービスが得になるクレカを選択しよう。このケースではキャッシュレス決済より楽天市場でのネットショッピングが多かったので、主軸のクレカを楽天カードに替えることをオススメ。

【得する金額】

月3万円楽天市場で買い物をした場合、PayPayカードで払うとポイント還元率は0.5%=150ポイント/月。楽天会員になり楽天カードで支払うと3%還元(期間限定ポイントを含む)=900ポイント/月(900ポイント-150ポイント)×12カ月=9,000円相当の得

年9,000円の得

【全部見直したら】

395,311円=約40万円の得!

光熱水費や保険料が銀行の出入金明細に並んでいる光景は当たり前すぎて、なかなかいじらない人も多い。でもあえてその「固定費のダダ漏れ」にメスを入れ、口座をスリム化すれば、大幅な得になる!お金の流れを見直して、’24年は得する家計管理を。

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