〝避難民〟に戸惑い ウクライナ出身女性が「本」になって「読者」に語った複雑胸中

日本での生活などについて話すロシア人留学生の話に耳を傾ける学生ら

 人が「本」となり、「読者」に対して半生や自分の思いを語る「セイカ・ヒューマンライブラリー」が2日、京都市左京区の京都精華大で初めて開かれた。同大学に通う留学生らが自国の文化や日本での体験を語り、日本人学生たちとの対話を通して、互いに世界の多様性を学んだ。

 LGBTQ(性的少数者)や障害者など特定の属性をもつ人々が「本」となり、参加者である「読者」と対話する活動。2000年にデンマークで始まり、社会的マイノリティーに対する偏見を減らし、相互理解を深めることを目的に、世界各国で開かれている。今回は大学職員や学生らが共同で準備を進め、44人の学生が参加した。

 冒頭に、ウクライナ出身で、龍谷大大学院で「報道と戦争」をテーマに学ぶロクソ・ラーナさん(24)が登壇。ロシアの侵攻によって母国の家族が日常的に空襲を受け、不安な生活を強いられる一方、「日本では自分が『避難民』として特別な扱いを受けているような気がして戸惑うこともある」と、複雑な胸中を明かした。

 その後、ロシアや香港、マダガスカルなど九つの国や地域の留学生たちが各テーブルに分かれ、日本人学生たちと交流。日本に興味をもったきっかけや、故郷の食文化などを紹介し、日本人学生たちが活発に質問していた。

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