「裏金疑惑」派閥からの指示を認める 宮沢防衛副大臣が明言 単独取材に明らかにしたキックバックの存在

自民党をめぐる裏金疑惑が拡大する様相の中、臨時国会は12月13日、最終日を迎えました。渦中の安倍派議員は、SBSの取材に対し、いわゆるキックバックを収支報告書に記載するなと派閥の指示があったことを認めました。

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<宮沢博行 防衛副大臣>
Q.パーティー券について一言いただけますか?
「事務所の中で精査させていただきました。それについて私も承知しているところでございます。いわゆるキックバック、プールについて、私のところにはございました」

臨時国会の最終日。現役の副大臣で自民党・安倍派に所属する宮沢博行衆議院議員がSBSの単独取材に明らかにしたキックバックの存在。

<宮沢博行 防衛副大臣>
Q.記載しなくていいというのは会派のお達しだった?
「そうです。ことここ至ってはハッキリと申し上げます。いくら、かん口令が敷かれておりますけれども、これはもう各議員が正直言って、しゃべらないといけない段階に来ていると思う。もう一度申し上げます。私の事務所には、いわゆる還流のお金、留保のお金しっかりございました。そしてそれについては、パーティー券ですから、国民の皆さんからいただいた大事なお金だと思っています。だからこそ『収支報告書に記載するな』と言われましたけども、それではいけないと思い、自分で管理をして、支出に関しては政治的な活動に使い、内容については領収書で管理していた」

キックバックを収支報告書に記載しなかったのは「派閥の指示だった」とカメラの前で明言しました。

自民党・安倍派をめぐる裏金疑惑。安倍派の政治資金パーティーでは、所属する議員がパーティー券を売りさばいた際に、ノルマを超えた分はキックバックとして議員側に返されていました。

今回、問題になっているのは、このお金が収支報告書に記載されず「裏金」として扱われていたのではないかという疑いです。宮沢副大臣は、裏金づくりと指摘される一連の流れが安倍派からの指示だったと認めた形です。

<宮沢博行 防衛副大臣>
Q.具体的にいくらでどういった先に使った?
「正直に申し上げます。3年間で140万円です。支出先については、いろんな団体の年会費、それから政治的な交際費に使っていた。自己資金も入れての会計でしたので、どれを140万に充てて修正するかについては、これから検討したい」

宮沢副大臣は今後、収支報告書を修正、報告するとも説明しました。

一方、安倍派のトップ・塩谷座長は、派閥の指示は承知していないと述べるにとどめました。自民党をめぐる裏金疑惑は、もやもやが残ったまま臨時国会が終了しました。

野党が提出した不信任案は、与党などの反対で否決されましたが、ちゃんとした説明がないまま臨時国会の幕を引いたことに、静岡県内の野党議員は憤りを示します。

<立憲民主党 源馬謙太郎衆議院議員>
「驚きました。自民党の派閥の中で継続的にシステム的にこういう裏金づくりというのが行われていたのではないかという報道。非常に驚きと怒りを感じている」

政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑。

<岸田文雄総理>
「しかるべきタイミングで適切に対応すると申し上げてきました」

岸田総理は今回の裏金疑惑が取りざたされている安倍派所属の閣僚と副大臣を事実上、更迭する考えを持ってるとみられます。この考えに沿うと安倍派の宮沢防衛副大臣は、14日にも交代する運びとなります。

ただ、岸田総理は閣僚らの交代によって最大派閥の安倍派を敵に回すことになるため、どこまで交代させられるかは、まだ不透明な部分も残ります。裏金疑惑が引き起こした「政治への不信感」。さらにそれを加速させているのが政治家の対応です。

<松野博一官房長官>
「私の政治団体についても精査し適切に対応して参りたいと考えております」

<塩谷立安倍派座長>
「今現在、精査中でして」

まるで判を押したような決まり文句での説明。本来、自らの言葉で思いや政策を伝えるのが仕事のはずですが、同じ言い回しに終始しています。

<70代女性>
「今までこうした問題があった時に、説明しますと言っても、後で最後にちゃんとした説明を聞いたことがない。説明しますって言っているだけではないかなという気がします」

<20代男性>
「説明の仕方や、処分の仕方が色々、全てがあいまいだなと」

果たして裏金は派閥からの明確な指示があったのか。今後、検察による捜査が本格化するとみられ、事態の解明が待たれます。

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