韓流人気を牽引してきた俳優変遷~ペ・ヨンジュンからチュ・ジフン、イ・ミンンホまで

2003年、あの「冬のソナタ」がNHK BSで日本初放送されて今年で20年を迎える。「韓流ブーム」と呼ばれた社会現象は様々な時代を経て、今ではひとつのジャンルとして日本のエンタメ市場にしっかり定着している。かつてシニア世代がメインだった韓国ドラマの視聴者層は、ここ日本においてどう広がってきたのか。それは、まぎれもなくブレイクドラマの主人公を演じた俳優の存在が大きい。そこで今回は、各年代の“韓流人気”を牽引してきた俳優たちの変遷を振り返ってみる。


始まりは言わずもがな。ペ・ヨンジュン、イ・ビョンホンを2大トップに、ウォンビン、チャン・ドンゴンを加えた“元祖韓流四天王”が巻き起こした第一次韓流ムーブメントだ。この流れに乗って、韓国ドラマの地上波放送が増加。

「天国の階段」(日本初放送2004年)のクォン・サンウ「夏の香り」(日本初放送2004年)のソン・スンホン「ごめん、愛してる」(日本初放送2005年)のソ・ジソブなど、王道ラブストーリーの主人公たちが、韓流スターとして人気を得ていく。彼らの登場によって、“モムチャン(カッコいい身体)”という言葉が流行ったほどだ。

ブーム初期は、視聴者層の中心を担っていたのはシニア世代だったが、ほどなくして違う流れがやってくる。そのきっかけを生んだのが、漫画原作の「宮~Love in Palace」(日本初放送2006年)だ。 架空の王室を舞台に、孤独な王子と平凡な女子高生の結婚から始まる恋物語は、韓ドラ=純愛メロというイメージを一新

主人公を演じたチュ・ジフンは少女漫画から抜け出してきたような外見で、ナイーブな雰囲気が若い世代の心を鷲掴みに。何より、“ラブコメ×ツンデレ王子”という掛け合わせがこの時代にマッチし、その後のスターの潮流を作っていく。

「宮~Love in Palace」チュ・ジフン©2006 Eight Peaks/MBC All Rights Reserved. ©2009 GD Corp inc.

その流れを継いだのが、「花より男子〜Boys Over Flowers」(日本初放送2009年)のイ・ミンホ「美男<イケメン>ですね」(日本初放送2010年)のチャン・グンソクだ。ちなみに、「花男〜」はイケメン軍団、「美男ですね」はアイドルブームを巻き起こすきっかけに。ともに1987年生まれのイ・ミンホとチャン・グンソクが、この後、“アジアの韓流スター”として席巻していったのも興味深い。

その後、彼らを追うように、2013年に「太陽を抱く月」が、翌2014年に「奇皇后-ふたつの愛 涙の誓い-」が、それぞれNHK BSで放送され、キム・スヒョン、チ・チャンウクが注目を集める。

と同時に、この頃になると、CSの韓国専門チャンネルで視聴するマニア層も増え、「応答せよ1997」(日本初放送2012年)のソ・イングク「君の声が聞こえる」(日本初放送2014年)のイ・ジョンソクらも、次世代スターとして浮上。

1987年生まれのチ・チャンウクとソ・イングク、1988年生まれのキム・スヒョン、1989年生まれのイ・ジョンソクという、今まさに脂の乗った30代のトップ俳優たちが、同じ頃に新星として現れ、今なお活躍し続けていることを思うと感慨深い。


TEXT:高橋尚子(編集・ライター)

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