【ベトナム】ロンチャウ薬局、AI駆使し急成長[商業]

ベトナムのIT最大手FPTの関連会社、FPTデジタルリテール(FPTリテール)が展開するドラッグストア「ロンチャウ薬局」が急成長している。2017年の事業開始から6年で店舗網は1,600店に増え、23年の売上高は15兆ドン(約6億1,800万米ドル、898億円)に達する見通しだ。ネットメディア「カフェF」が12日付で伝えた。

ロンチャウ薬局は17年に南部ホーチミン市で4店舗を開設したのを皮切りに、コロナ禍でも積極的な出店を続けた。全国63省市に出店する唯一の薬局チェーンで、顧客基盤は1,600万人を超える。

FPTリテールはIT機器小売店「FPTショップ」を展開してきたが、薬局チェーンの経験はない。グエン・ドー・クエン最高執行責任者(COO)は「ここまでの道のりは決してたやすいものでなかった」と強調する。特に北部への進出には「北部の消費者は行き慣れた薬局や食料品店を使い続ける傾向が強い」と社内に慎重論もあったが、人工知能(AI)を通じて販売傾向を地域ごとに研究し、皮膚炎などに効く塗り薬「ホー・ヌオック」など人気の商品を充実させるなどして、支持を広げた。

クエン氏は、ロンチャウ薬局を短期間で成功させた要因としてAIなどを駆使して顧客に最適な商品を提供していることを挙げる。

ロンチャウの商品ラインアップは1万6,000点あるが、全店共通は1万点余りで、残る6,000点は地域や店舗により異なるという。

ロンチャウは1,600万人の顧客データを生かして自社サイトなどを通じた電子商取引(EC)にも力を入れている。ただ、健康についての個人情報は「デリケートな問題」として顧客データを商品の広告で過度に活用することは控えている。

クエン氏は「ロンチャウがあなたの全てを知っている」と顧客に思われることは逆効果だとして、顧客データは慎重に取り扱っていると述べている。

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