【アジア】【新:価格ウオッチ】アジアのラーメン店 一人前のお値段は?[サービス]

アジア各地で物価の上昇が止まらない。安いアジアも今や昔、円安相場のリアルを直視しよう。駐在暮らしや長い出張で恋しくなる日本の味、ラーメンの「いま」の価格をアジア15都市で調べた。

アジアに広く展開する「一風堂」と「味千ラーメン」、2つのチェーンを中心に日系ラーメン専門店の定番商品を調べた。最高値(日本円換算)は、シンガポールの1,338円(味千)。同市は他店も1,200円を軽く超えてくる価格帯で、アジア随一とされる物価水準の高さを見せつけた。

意外な次点がモンゴルの首都ウランバートルの1,316円(味千)。味千は7年前の2016年に初出店。製麺機を導入し、現地での麺製造も行ってきた。ウランバートルは近年、日本の小売りや外食チェーンの展開が進み、昨年初めには牛丼の吉野家も1号店を開業。牛丼(並)を800円弱ほどで提供している。

一風堂も展開エリアを年々着実に増やしている。ベトナムのホーチミン(709円)、インドネシアのジャカルタ(676円)、ミャンマーのヤンゴン(680円)では定番の「白丸元味」を日本よりも安価に提供。ラーメン好きの駐在員には好適だ。

「ラーメンとギョーザにビールで晩酌」で、果たしていくらになるか(一風堂シンガポールの公式フェイスブックより)

一方、日系ラーメンチェーン不毛の地が韓国とインド。韓国は日本に近く食文化の類似点も多いにもかかわらず、過去にも大手の進出例はあるものの結果は振るわなかった。そうした中、ソウルの「豚人(ぶたんちゅ)」は「とこ豚骨ラーメン」(1,032円)を看板商品に数店を運営。日系店として健闘を見せている。

インドは日系ラーメンチェーンを今回の調査では確認することができなかった。現地に進出する焼き鳥チェーン「くふ楽」が、傘下の日本食レストラン「TOKYO TABLE」で提供するラーメン(528円)を参考に掲載しておく。なお、店舗はインディラ・ガンディー国際空港(IGIA、デリー空港)の商業地区「エアロシティー」で営業しており、出入国などの際に利用するには便利だ。

サイドメニューのギョーザは、今回調査した全てのエリアで見ることができた。最高値は香港(777円)、安値は日本(250円)だった。焼きギョーザ、揚げギョーザをそれぞれ同価格で提供する店も多く、揚げがほとんど見られない日本の店と異なる傾向だった。

■牛丼「すき家」もインドでラーメン?

今回の調査は、価格のばらつきやすい個人店を避けつつ、チェーンによる相場形成が可能な価格帯を探ることを狙いとした。日本食レストランの単品メニューとしてのラーメンを対象にせず、基本的にラーメン専門店に絞ったのもそのためだ。

味千ラーメンのモンゴル2号店。2021年8月、チンギスハン国際空港に開業した(味千ラーメン・モンゴリアの公式フェイスブックより)

価格表には入らなかったが、調査の候補に挙がったチェーンは他にも、旭川ラーメンの「らーめん山頭火」、東京・新宿発祥の煮干しラーメン「ラーメン凪(なぎ)」、石川県生まれの「8番らーめん」、グロービート・ジャパン(らぁめん花月嵐、ちゃぶ屋とんこつらぁ麺CHABUTONを運営)などがあった。アジアでは3~6カ国・地域にそれぞれ進出しており、さらなる展開が期待される。

余談だが、調査で耳にした話によるとインドで日系ラーメンがヒットしづらいのは、宗教的に動物性の食材をあまり口にしない人が多いことと、暑い気候で熱々のラーメンはあまり好まれないことが背景にあるという(真偽は定かではない)。なお、牛丼チェーンの「すき家」はインドではチキン味のラーメンを500円ほどで提供しているという話もある。出張の際などに見かけたら、試してみてはどうだろうか。

※アジア経済を観るNNAのフリー媒体「NNAカンパサール」2023年12月号<https://www.nna.jp/nnakanpasar/>から転載しています。

© 株式会社NNA