時速100キロ、ドローンレース 舞台はカシマスタジアム 茨城・鹿嶋で16日 操縦士育成の一助に 

県立カシマサッカースタジアムでのドローンレース大会を企画した犬飼豊紀さん=神栖市土合西

茨城県立カシマサッカースタジアム(鹿嶋市神向寺)で16日、国内トップ選手らが参加する小型ドローンのレース大会が開かれる。ドローンは今後、さまざまな産業で活用が期待される一方、高い技術を持つ操縦士育成が急務。大規模会場での競技大会を契機に、参加者の技能向上に役立てたい考えだ。

財務省関東財務局がまとめた「ドローン機体ビジネスの動向について」(2021年)によると、ドローンはこれまで個人利用や空撮などで利用されていたが、産業面での活用は農薬散布など限定的だった。今後は測量や物流など各方面での活用が期待されている。

大会で使用される小型ドローンは、主に設備点検の分野で活躍。主催する「サタデー・ナイト・ウーパーズ(SNW)」(神栖市)の犬飼豊紀さん(44)によると、小型ドローンは小回りが利くため、人が直接見ることができない石油コンビナートなどで需要が多いものの、高い操縦技術が必要なため人材が足りていないという。

このため、競技を通した技能向上の必要性が叫ばれていたが、国内ではドローン飛行の規制が厳しく、大規模なスタジアムを使った大会は開催されていなかった。今後は試合がない日のスタジアム活用策の一つとしても期待される。

「カシマスタジアム ドローンレース2023」と銘打った大会では、総重量100グラム未満の機体が出場。落下による芝損傷の可能性も考慮し、競技コースのほとんどは客席。スタジアムの高低差を活用した約900メートルの途中には、発光ダイオード(LED)で華やかに装飾された複数の障害物が設けられる。レースは3周で競われ、会場では時速約100キロのドローン飛行が観戦できる。夕方までに予選、夜に決勝トーナメントを実施予定。観戦無料。

準決勝と決勝の間にはエキシビションマッチを用意。スタジアム内のドローンと、仮想空間内のドローンが対戦する。仮想空間のドローンはフランスにいる選手が操作する。

犬飼さんは「レースから仕事につながることを知ってもらいたい。多くの人に観戦していただき、ドローンの可能性や楽しさを味わってもらえればうれしい」と話した。

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