芥川賞候補に盛岡出身の小砂川チトさん 猿の戴冠式

小砂川チトさん

 第170回芥川賞、直木賞(日本文学振興会主催)の候補作が14日付で発表され、芥川賞に盛岡市出身の小砂川チトさん(33)の「猿の戴冠式」(「群像」12月号)など5作がノミネートされた。小砂川さんは第167回に続く2回目の選出。

 小砂川さんの作品は、ある事件をきっかけに引きこもっていた競歩選手が主人公。テレビの中に「おねえちゃん」を見つけ、動植物園に向かう。言葉を機械学習させられた類人猿のボノボに境遇を重ねるあまり、現実と虚構の境も曖昧になってゆく―。

 小砂川さんは中学まで盛岡市で過ごし、高校進学に伴って上京。2022年に「家庭用安心坑夫」で第65回群像新人文学賞を受賞し、デビューした。

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