平戸のキリシタン遺産 寺院庭園跡の池 住民が保全活動

庭園跡の池に流れ込んだ落ち葉などを取り除く参加者=平戸市、安満岳

 世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産、平戸市の安満岳(536メートル)山頂付近にある寺院庭園遺構の保全活動があり、市民約30人が池に流れ込んだ土砂や風倒木を撤去した。
 市内に残る史料などによると、同岳山頂付近には、明治初期の廃仏毀釈(きしゃく)まで西禅寺があった。池は江戸時代後期に平戸藩主が築かせたとみられる。
 保全活動は、2022年から同市の市民団体、中野地区まちづくり運営協議会(岡一義会長)が実施。前年までに山頂付近の調査で希少生物のカスミサンショウウオの生息や繁殖場所になっていることを確認したことがきっかけとなった。 作業は2日にあり、車両が入る登山道途中まで土砂を搬出。水抜きのために池にたまった落ち葉を一時的に取り除くなどした。
 同協議会の担当者は池周辺に残る寺院の基壇とみられる石組み遺構などを参加者に紹介。「地域の一つの物語、宝を共有することがこの活動の意義」と説明した。

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