経営危機からV字回復 行列できる天津甘栗店…ふるさと納税返礼品登録で大バズり! 愛知・碧南市

テレビ愛知

愛知県碧南市に、行列が絶えない天津甘栗の人気店があります。職人堅気の父と、アイデア豊富な息子。親子鷹で挑んだ、V字回復ストーリーです。

大人気の「天津甘栗」

中はしっとりの「天津甘栗」

中はしっとり、甘味たっぷりの「天津甘栗」。販売しているのは、碧南市にある「衣浦食品」です。店の中をのぞいてみると、平日にも関わらず、行列が!

客:
「香りも良いし、やわらかいです。スーパーの栗は皮からはずれにくいけど、むきやすい」

「豊橋から来ました。甘味がすごくあります。お父さんの焼き加減ですかね!」

衣浦食品 小林さん親子

店先に立つこの2人。社長・小林清二さんと、息子の高志さんです。父・清二さんはこの道45年の大ベテラン。中国から取り寄せたこだわりの「甘栗」に、じっくりと火を通していきます。焼き上がりにムラができないよう、常にかき回します。温度や湿度の違いによって微妙に火加減を調整するのです。

衣浦食品 社長 小林清二さん:
「(栗を触る様子)果肉がやわらかくなってくるので、感触でほとんど分かります」

小林高志さん

衣浦食品は以前、青果店などに栗を卸すのが主な業務でした。

小林高志さん:
「バブルの時代も重なっているので、従業員さんも結構いて、割と順調にやっていました」

しかし近くにスーパーが出店。取引先の青果店が次々と閉店すると、徐々に出荷量が減少していきました。

高志さん:
「いつの間にか(従業員も雇えなくなり)両親だけの商売になったんです」

売り上げはピーク時の2割程度にまで減少し、経営の危機に陥ります。

家業を継ぐ状況ではなかった

当時は高校生だった高志さん

清二さん:
「(売り上げ下がるのは)時の流れかな。甘んじるしかないと思っていました。どうあがいても何ともならないと思っていたので」

このとき、息子の高志さんは高校生。家業の厳しい状況について話します。

高志さん:
「(商売が)下火になってしまっていて、なぜなのか、という気持ちはありました。継ぐという状況にはなかったです」

地元の碧南市役所に就職

高志さんは大学を卒業後、地元の碧南市役所に就職。「ふるさと納税」を担当する部署に配属され、ある考えを思いつきます。

高志さん:
「ふるさと納税という制度があって、登録だけでもやってみたらということを(父に)話しました」

実はこの「ふるさと納税」の返礼品への登録が、思わぬ反響を呼びます。

全国から8500件の申し込みが入る

全国から8500件の申し込みが入った「天津甘栗」

2017年には全国から8500件の申し込みが入ったのです。「父の焼く栗」が大きな可能性を秘めている。高志さんの気持ちに変化が生じます。

「Yahoo!ショッピング」の甘栗部門で週間1位を獲得!

販路を拡充

高志さん:
「40年やるってものすごいことだなって。恩を返せるときが来ました。歳をとっていく両親を支えたいなと」

高志さんは市役所を辞め、家業を継ぐ決断をします。取り組んだのは、販路の拡充でした。通販で販売を始めたところ、ジワジワと人気を呼び、2022年には「Yahoo!ショッピング」の「甘栗」部門で週間1位を獲得したことも!

さらに噂を聞きつけた客が店舗にも訪れるようになり、行列が絶えない人気店となりました。

売り上げは7倍に V字回復を果たす

「息子が入社してくれてうれしかった」と語る清二さん

高志さん:
「(出荷量が)年間100トンを超えました」

ピーク時の2割にまで落ち込んだ売り上げは7倍の伸びを見せ、完全にV字回復を果たしました。

衣浦食品 社長 小林清二さん:
「自分自身、環境を変えたいという思いがありました。(息子が入ってきてくれて)良かった」

今後も親子鷹で挑戦し続ける

高志さん:
「栗を焼く喜びは本人も持っているので、健康なままずっと焼いてもらいたいです。(作業に)専念できるように、僕がそのほかの業務はやっていくので、安心して焼ける環境を作っていきたいです」

市役所を辞めて家業を継ぐ決断をした息子の高志さん。「将来的には暖簾分けをするなど、甘栗の魅力をさらに広めて行きたい」と話しました。

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