コロナ制限明け飲酒運転が増加 「宅飲み」の名残も 年末年始へ警察「抑え込む」

検知器を使い、運転手の呼気にアルコールが含まれていないか調べる向日町署員ら(向日市寺戸町)

 新型コロナウイルス禍による行動制限が5月に大幅緩和されて以降、初めて迎える年末年始が近づいている。本年度は職場の忘・新年会、親族や友人との集まりで、飲酒する機会が増える人もいるだろう。一方で懸念されるのが、飲酒運転の増加だ。コロナ禍でも後を絶たなかっただけに、警察は警戒感を強めている。

 東の空が白み始めた11月9日午前5時50分ごろ、京都府向日市寺戸町の物集女街道(府道西京高槻線)に、向日町署の交通課員や地域課員が10人ほど集まった。検問で通行車両を道路脇の空き地に誘導し、運転手の呼気にアルコールが含まれていないか、検知器で調べた。

 2時間行った検問では、計311台のうち違反者はゼロ。ただ、同署管内の京都市伏見区久我森の宮町では10月21日朝、飲酒運転の女(19)の乗用車が小学女児(8)に衝突してけがを負わせる事件が起きた。同署によると、女は働いていたバーで朝まで飲酒した後に帰宅中だったという。近年は夜通し飲んだ後や二日酔い状態での運転も問題化し、飲酒運転は時間と場所を問わない。同署の担当者は「こうして検問をしていることを知ってもらうだけでも、飲酒運転の抑止につながる」と力を込めた。

 府内で交通事故や交通取り締まりにより発覚した飲酒運転は、コロナ禍前の2019年の345件から、20年は334件、21年は224件と減少した。一方、22年は277件、今年は9月末時点で222件と増加傾向だ。

 同署の担当者によると、コロナ禍による行動制限や飲食店の営業自粛があった時期には自宅で「宅飲み」したり、酒を買った後に車内で「車中飲み」したりした後に運転するケースがあったという。「まだその名残はある印象。これから会合での飲酒がさらに増える。飲酒運転が増加しないよう、酒類販売店にも働きかけるなど抑え込みたい」と語る。

 昨年の飲酒運転摘発件数を月別に見ると、お盆時季の8月と年末の12月が多く、いずれも30件を超えた。「このくらいなら飲んでも大丈夫」という気の緩みは、取り返しの付かない事故を招きかねない。自分がしないことはもちろん、人の交流やつながりがコロナ禍前に戻りつつあるからこそ、周囲に対しても飲酒運転を許さない姿勢が求められそうだ。

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