今週は阪神競馬場で、第75回朝日杯フューチュリティS(GI、芝1600m)が行われる。今年は4頭の重賞勝ち馬が参戦。冬の阪神で行われる2歳頂上決定戦を制するのはどの馬になるのだろうか。
ここでは馬券検討のヒントとして、出走馬17頭の全頭診断を行う。
◆【朝日杯フューチュリティステークス2023/WIN5予想】シュトラウスは“消し”想定2桁オッズ含む2頭 WIN3は前走逃げ馬「一点突破」
■朝日杯フューチュリティステークス2023 出走予定馬全頭診断
・アスクワンタイム
芝1400mの前走は10着と大敗。さらに距離が延びるここでの強調材料は乏しい。
・エコロヴァルツ
新馬戦、コスモス賞と他を寄せ付けないパフォーマンス。早め先頭で上がり3F最速の前走は強い競馬だった。ポテンシャルは申し分ないが、今回は初の急坂コースかつマイル戦。メンバーも格段に強化される点から、中心視するには躊躇してしまう。
・エンヤラヴフェイス
8人気の前走デイリー杯2歳Sは2着と健闘。当時は稍重だったが、開催後半の新馬戦を圧勝していたように時計のかかるタフな馬場が合うのだろう。金曜土曜に雨の可能性がある週末の阪神天候から、何らかの印は必要か。
・オーサムストローク
未勝利戦、ベゴニア賞と連勝中の馬。前走走破時計は平凡も、イクイノックスの妹でジャパンカップデーに確勝を期したガルサブランカを下したのだから立派だ。阪神開催以降の朝日杯FSにおいて、前走東京芝1600m勝ち馬は【5.1.3.0】。軽くは扱えない。
・クリーンエア
前走デイリー杯2歳Sは見せ場なく敗戦。当時先着された馬が多く出走する今回、巻き返しは容易ではないだろう。
・サトミノキラリ
未勝利から連勝を飾りGIの舞台へ。とはいえマイル経験がなく、前走の走破時計も平凡でGI即通用は難しい注文と言えそうだ。
・ジャンタルマンタル
新馬戦、デイリー杯2歳Sと危なげなく連勝。日本に馴染みのない血統ゆえ特徴が掴みにくいところだが、異なる距離・馬場をまったく問題にしなかったレースセンスは2歳馬離れしたものがある。阪神開催以降の朝日杯FSにおいて、前走芝1600m重賞で1番人気1着だった馬は【2.1.2.1】。前走と同じレース間隔で臨める点もプラス材料で、死角らしい死角は見当たらない。
・ジューンテイク
デビュー以来、ほとんどのレースが少頭数。12頭立ての新潟2歳Sは10着と惨敗を喫しており、連続好走は至難の業か。
・シュトラウス
4番人気に評価を落としていた前走東スポ杯2歳Sだが、先行押し切りで鮮やかな勝利。それまで2度使われていた東京競馬場での経験値も追い風となった印象だ。過去2戦に騎乗した騎手がいずれも操縦性の難しさを示唆していた点は気がかりも、週末の阪神は金曜土曜に雨の可能性あり。不良馬場で9馬身差圧勝歴を持つ同馬にとって大きなアドバンテージとなりそうだ。
・セットアップ
デビュー以降、全レースで逃げ戦法をとる馬。そのスタイルで重賞勝利を掴んでおり、今回も先手を主張する可能性が高い1頭だ。とはいえ阪神マイルを逃げ切りことは容易ではなく、阪神開催以降の朝日杯FSで逃げ切り勝ちはゼロ。関西圏の経験もなく、2-3着のゾーンが妥当か。
・タイキヴァンクール
マイルを使われた新馬戦は勝ち馬と0秒9差。距離延長はマイナス材料だ。
・タガノエルピーダ
阪神開催以降の朝日杯FSで馬券内に入った牝馬はグランアレグリアのみ。同馬には牡馬混合重賞での勝ち鞍があった。1戦1勝のキャリアで臨む今回、好走へのハードルは高そうだ。
・タガノデュード
未勝利脱出までに6戦を要した馬。厳しい。
・ダノンマッキンリー
先行押し切りの新馬戦から一点、差す競馬で上がり3F最速勝利を決めた前走秋明菊賞。メンバーに恵まれたとはいえ、異なるスタイルで結果を出した点は高く評価できる。2歳GI×馬主ダノックス×当日3人気以内に推された馬は【4.2.0.0】連対率100%。C.ルメール騎乗で上位人気濃厚のここで大きく評価を下げることはできない。
・ナムラフッカー
10番人気の低評価を覆す好走をみせた前走デイリー杯2歳S。とはいえ勝ち馬とは0秒5差と明らかな差をつけられていた。夏競馬からコンスタントに使われ続けている点も気がかりだ。
・バンドシェル
前走京王杯2歳Sは馬券外。マイルの距離も含め、変わり身は望み薄か。
・ミルテンベルク
2番人気に支持された前走京王杯2歳Sは5着。距離延長に左回り、初の関東圏とレース前に抱えていた課題がすべて噴出する結果に終わった。さらに距離が延びるここは人気薄濃厚も、阪神の新馬戦は稍重で上がり3F最速勝利。雨想定からの回復途上の馬場適性は高く、ヒモ穴候補としてケアしたい。
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UMAJIN.netより一部編集・転載(2023年12月14日 18:01公開の記事)
著者プロフィール
田原基成(たはらもとなり)●競馬評論家
競馬予想の魅力を世に発信し続ける「競馬ストーリーテラー」。予想に対して謎ときに近い魅力を感じており、ローテーション・血統の分野にて競馬本を執筆。現在はUMAJIN内「競馬サロン」にてコラム【競馬評論家・田原基成のいま身につけるべき予想の視点】 執筆中。『SPREAD』ではデータ分析から読み取れる背景を紐解き、「データの裏側にある競馬の本質」を伝えていく。