「不記載は派閥の指示」“宮沢の乱”地元も衝撃 宮沢副大臣が暴露した舞台裏 専門家「背景に次の選挙への思惑か」

自民党・安倍派の政治資金パーティーをめぐる裏金疑惑について、静岡3区に地盤を置く宮沢博行衆議院議員がSBSの単独取材に対し、派閥からの指示を認めたことに端を発した「宮沢の乱」。現役副大臣だった議員の爆弾発言は県内にも衝撃を与えています。

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12月14日午後3時前の国会。衆院本会議に戻ろうとする宮沢議員にSBSの記者がインタビューを申し込むと…インタビューの途中で突然、様子が変わりました。

<宮沢博行衆議院議員>
「しゃべるわ、最初から、最初から」

このあと、表情が少し変わり堰を切ったように「告白」が始まりました。

<宮沢博行衆議院議員>
「いわゆるキックバック、プールについて、私のところにはございました」
Q.記載しなくていいというのは会派のお達しだった?
「そうです。ことここ至ってはハッキリと申し上げます。いくら、かん口令が敷かれておりますけれども、これはもう各議員が正直言って、しゃべらないといけない段階に来ていると思う」

これまで誰も公に認めていなかった裏金づくりの疑惑についてカメラの前で自ら140万円の裏金を作ったいたことを明らかにしたのです。

静岡県内の政治を見つめてきた専門家は、今回の爆弾発言に驚きを隠せません。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「国政ももちろん、静岡県内政界にも大きな影響を与える。まさに『宮沢の乱』と言ってもいい」

安倍派の政治資金パーティーでは、所属する議員がパーティー券を売りさばいた際にノルマを超えた分はキックバックとして議員側に返されていました。

今回、問題になっているのは、このお金が収支報告書に記載されず「裏金」として扱われていたのではないかという疑いです。宮沢議員は裏金づくりと指摘される一連の流れが安倍派からの指示だったと認めた形です。

なぜ、裏金づくりが派閥の指示だったと公にしたのか。白鳥教授は背景に次の選挙への思惑があるのではないかと指摘します。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「選挙に弱い中で、場合によっては、岸田政権が内閣総辞職を行わなければならないということに追い詰められる」

宮沢議員は、静岡3区で立憲民主党の小山展広議員と総選挙のたびに競り合ってきていて、前回の衆院選では静岡3区で落選し、比例で復活したという経緯があります。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「まずは、自分は正しいというアピールをしたかった。選挙について必ずしも強くなかったことが1つの背景と言える」

突然の爆弾発言に地元・磐田市では賛否両論です。

「人間的にね当たり前のことだもんね。磐田市民としては賛成だよ」
「裏金やってたという事に対してね。やーそれはいけないことだけど、いけないことだと思う」

磐田市の事務所スタッフは、今回の発言について本人から事前に全く報告はなく非常に困惑したそうです。

一方、事務所には「よく言った」などと今回の発言を評価するメールが30通以上届いているそうです。

<岸田文雄総理>
「速やかに人事を行うことが適切であると判断した」

岸田総理は12月14日、安倍派に所属する閣僚と副大臣を事実上更迭し、新たな大臣らを任命しました。これによって宮沢議員は防衛副大臣の座を降りることになりました。

<宮沢博行衆議院議員>
Q.副大臣交代については?
「人事については総理大臣の専権事項でありますから、私が申し上げることではありませんけれども、防衛の仕事としてやり残したことはたくさんある。非常に残念だと思っている。そして、まだ全容が分かっていない段階でこういう判断をされることについては私も悔しい思いです」

自民党の再生に向け、口火を切った形に見える宮沢議員に対して、同じ自民党に所属する県議の受け止めは…

<自民党静岡県連 増田享大幹事長>
「各議員個人の先生方の判断だと思うが、やはり派閥として責任ある方から、しっかりした説明があるべき」

ただ、他の県議からは「発言は理解できない」などと冷ややかな声があるのも事実です。

<法政大学大学院 白鳥浩教授>
「宮沢さんの発言によって静岡県内の自民党に対する信頼は大きく損なわれている」

宮沢議員の発言は改革への第一歩か、終わりの始まりか。いずれにしろ日本の政治が変わるきっかけになる可能性を秘めています。

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