「心電図」の膨大なデータを“2~3分”で解析!? 株式会社カルディオインテリジェンスがローンチした“長時間心電図解析ソフトウェア”とは?

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00~20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。12月9日(土)の放送は、株式会社カルディオインテリジェンス CEOの田村雄一(たむら・ゆういち)さんをゲストに迎え、お届けしました。

(左から)田村雄一さん、笹川友里

◆医師でありながら医療機器開発会社を設立した理由

現在も国際医療福祉大学三田病院で循環器専門医として現場に立ちつつ、2019年にAI(人工知能)を活用した医療機器の開発をおこなうカルディオインテリジェンスを起業した田村さん。

その経緯について伺うと、「実際に私が医師として働いているなかで、(改善してほしいのに)ずっと変わっていかないもの、もうちょっと良くできるんじゃないかという体験から、いま届けている製品の開発が始まっています」と言います。

すると、笹川が「“こんなものがあったらいいな”というものをメーカーさんと話し合って進めていくのではなく、自分で会社を立ち上げて開発しようと考えたのはなぜですか?」と疑問を投げます。これに対して、「大きな課題として、今もうまくいっている医療機器でも“(効率の向上をさらに目指して)大きく変えていきたい”というところがありました」と田村さん。

例えば、ホルター心電図(小型の機器を患者に取り付けて、24時間など長時間にわたって、患者の心電図を記録・解析をおこなう検査)では、膨大なデータを医師や検査技師が紙で細かくチェックするため、時間がかかり、異変を見落としてしまう可能性もありました。

そこに疑問を感じた田村さんは、「(作業効率が)劇的に早くなるような支援ができれば、検査を受けやすくなりますし、医師や検査技師さんの業務支援にもなっていく」と声を大にします。

具体的には、ディープラーニング(深層学習)によって、より効率的に異変のある患者さんを見つけやすくなると言い、「このような“革新的な開発”というところは、既存のメーカーさんとのやり取りでは進みにくいと感じたので“じゃあ、自分でやるか”という思いになりました」と語ります。

実際に開発を進めていくなかで、田村さんが一番大事だと感じたのは“仲間集め”と言います。「医師・研究者としての目線では“(医療機器をつくるために)ソフトウェアの開発が必要”というのは理解していますが、それを医療機器として使っていいかどうかは、承認や認証などのプロセスが必要なんです。その手続きの書類も膨大にあって、それらをどう整えていくのか(そのスタッフが必要)。また、実際に届ける際の営業やマーケティングなどにも、それぞれスペシャリストの仲間が必要で、そういったところも日々勉強です」と話します。

◆「心房細動」の自動検出が可能に

カルディオインテリジェンスでは現在、脳梗塞の主な原因とされる心房細動(しんぼうさいどう)を高い精度で自動検出する「長時間心電図解析ソフトウェア SmartRobin AI シリーズ」 をローンチしています。

心房細動について、田村さんは「脈が乱れる病気(不整脈)のなかでは一番多い病気で、日本にも100万人ぐらい患者さんがいて、見つかっていない患者さんも100万人ぐらいいると言われています。心房細動が恐ろしいのは、脈が乱れて心臓が悪くなるだけではなく、心房(心臓の部屋)が痙攣するため、そのせいで重症の脳梗塞を高確率で発症すると言われています」と説明。

過去にも心電図を解析するソフトはあったものの「我々は、どのメーカーさんの波形でも、標準波形のフォーマットで(データを)はきだしてもらえれば、解析ができるところを強みにしていますし、その背景には、ディープラーニングやAIがある」と力を込めます。

ここで、笹川が「作っていくなかで一番“革新的”と感じた部分はどこですか?」と質問。これに田村さんは「もちろん“見逃し”が減ることも挙げられますが、一番は“速さ”。実際に現場で検査技師さんが30分かけて(心電図のデータを)見ていたのが、2~3分ですぐに判定できるようになりました」と話すと「そんなに違うんですね!?」と笹川も驚きを隠せません。

また、田村さんも驚いた最新の医療技術を伺うと、「ごく少量のサンプルから、いろいろな病気の背景が分かったり、血液から“どのがんが隠れている可能性が高いのか”“どの薬が効きやすい”ということが分かる、というところまで医療技術が発達しています」と言及。

最後に、田村さんは「元気で長生きすることが大事」と強調し、「脳梗塞を予防する薬は既にありますので、心房細動が見つかったら、それを投与してあげることで、脳梗塞を起こさず、残りの人生を寝たきりにならずに生きていける。それができれば、本人はもちろん、家族の負担も違いますし、医療費も違っていきます。ただ長生きをするだけではなくて、元気に長生きするための助けがしたい」と語っていました。

次回12月16日(土)の放送は、サントリーウエルネス株式会社 常務執行役員・ヘルスケア事業部長の山村大(やまむら・だい)さんをゲストに迎えてお届けします。国内サプリメント市場ナンバーワンの売上高を誇るサントリーウエルネスのDXについてなど、貴重な話が聴けるかも!?

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12月9日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2023年12月17日(日) AM 4:59 まで
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00~20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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