「夢」の名残を探して… 幻の車両、横浜「ドリームランドモノレール」の廃線跡を巡る

県道312号線をクロス。左上に写っている高圧線の鉄塔は、今も同じ場所に変わらず立っている(提供:日本モノレール協会)

 ドリームランドモノレールの廃線跡を実際に探索してみよう。当時の地図を見ると、国鉄(当時)の大船駅入口から柏尾川沿いを北へ300mほど行った場所にモノレール乗り場があった。駅跡は現在、鎌倉自動車学校南側のマンションになっている。

 大船駅を出発したモノレールは、すぐに柏尾川を渡り、対岸の丘陵の崖に沿って、しばらくの間、ちょうど鎌倉市と横浜市の市境上を走っていた。横浜市栄区側の「長尾台けやき公園」付近に行くと、丘の上に三菱電機の旧寮が見える。この寮の建物のすぐ下の辺りをモノレールが通過していた。

 次に大船観音の南側から栄光学園方面に回り込み、丘の上の玉縄5丁目の住宅地に行ってみる。この玉縄5丁目の住宅地の北辺は、両市の市境とほぼ一致している。つまりモノレールの廃線跡とも一致しているのだが、廃線跡は藪(やぶ)になっており、地形的なものを除けば痕跡は全く残っていない。

 モノレールは玉縄の丘陵上を駆け抜けた後、いったん谷を下り、県道312号線(田谷藤沢線)をクロスする。場所は神奈中バスの面谷戸(おもてやと)バス停から50mほど藤沢寄りの交差点付近である。

 ここから再び丘を駆け上がるようにして、現在の「九つ井 山の上ギャラリー」の後背を通過した後、モノレールの軌道は小雀浄水場の北側へと抜けて西進し、小雀公園テニスコートの道路際を通過していた。その先の農地の一画に、上下線のすれ違い場所である小雀信号所があった。

 信号所の先でモノレールは国道1号線をクロスし、現在のパチンコ店の敷地を通過して、市民の森である「ウイトリッヒの森」の南西を巻くようにして宇田川沿いに出る。この辺りまで来ると、かつて「ホテルエンパイア」(ドリーム交通の親会社である日本ドリーム観光が経営)だった和風高層建築(現・横浜薬科大学図書館棟)が見えてくる。

 宇田川の川岸を北進したモノレールは、韮橋(にらはし)の手前で川をクロスし、今度は北西に進路を取り、上りこう配を駆け上がって、終点のドリームランド駅へと向かう。

 ドリームランド駅跡地は現在、俣野公園・横浜薬大前バスロータリー南側に位置するドリームビルの駐車場になっている。付近一帯の横浜薬科大学、ドリームハイツ、俣野公園(墓苑を含む)の敷地がドリームランドの跡地だが、名残といえば、横浜薬科大学の図書館棟くらいしかない。

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