茨城県暴排条例改正案 みかじめ料授受、双方罰則 水戸・土浦の繁華街

茨城県警本部=水戸市笠原町

暴力団に対する規制を強化する「茨城県暴力団排除条例」改正案が、22日閉会の県議会12月定例会で成立する見通しとなった。同県水戸市や土浦市の繁華街を規制の強化区域に指定し、飲食店が暴力団に「みかじめ料」を支払ったり、暴力団が受け取ったりする行為に罰則を設ける。県議会文教警察委員会で14日、全会一致で可決された。来年4月1日の施行を予定する。

改正案では、飲食店や風俗店が多く立地する水戸市大工町と土浦市桜町周辺の繁華街を「暴力団排除特別強化地域」に指定。両地域で暴力団と店の間でみかじめ料や用心棒代などの授受があった場合、双方に1年以下の懲役または50万円以下の罰金を科す。

同条例は2011年4月に施行されたが、これまで授受が発覚した場合の店側への罰則はなかった。

県警によると、両市の繁華街では、潜在的なみかじめ料授受があるとみられ、「(店側は)払いたくなくても、暴力団が怖いから払ってしまう」(組織犯罪対策課)という。改正案では、店側がみかじめ料などを払ってしまった場合でも、警察に自首すれば罰則を減免する規定を併せて設け、暴力団との関係断絶を促す。

現行条例では、学校や図書館などの周囲200メートル以内では暴力団事務所の新設ができない決まり。改正案では、新たに都市公園や児童相談所などの施設を追加し、都市計画法上の住居、商業の各用途地域でも禁止とする。県内住宅の約85%が含まれるため、県警は「事務所の新設はほぼできなくなる」とみている。

18歳未満の青少年が暴力団と関係を持ちニセ電話詐欺や強盗などに関わるケースがあることから、青少年を暴力団事務所に立ち入らせることも禁止する。

暴力団員による他人名義の利用も禁じる。金融機関の口座開設や携帯電話の契約を防ぐのが狙いで、名義を提供した場合は勧告や公表の対象とする。

県内では昨年1月、水戸市の暴力団事務所で組幹部が射殺された。同6月にはひたちなか市でも拳銃が発砲され、組幹部と組員の2人が死亡した。

条例改正の意義について、県警は「より安全で安心な県民生活確保のためには規制強化が不可欠」としている。

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