少子化・晩婚化・お一人様現象で、結婚紹介ビジネスにも再編の波

少子化や晩婚化などで、結婚は減少傾向に(写真はイメージ)

「NOZZE.(ノッツェ.)」ブランドを全国展開していた結婚情報センター(名古屋市)が東京地裁から破産手続き開始決定を受けたことが明らかになった。大手信用調査機関の帝国データバンクによると、同業者との競合に加えて、マッチングアプリの普及やブライダル需要減などの影響で会員数が伸び悩み、オフィス賃貸料や広告宣伝費などの経費負担も重荷となり破産に至ったという。負債は約7億1000万円。

どうする?「少子化」「晩婚化」「お一人様現象」の三重苦

すでに同社の結婚紹介事業は譲渡済みで、「NOZZE.(ノッツェ.)」サービスは譲渡先企業が運営を続けている。「少子化」「晩婚化」「お一人様現象」の三重苦で経営が行き詰まったわけだが、事情はどの結婚紹介事業者も同じ。今後この三重苦が解消される見込みはなく、業界では生き残りのための模索が続いている。

ZWEI(ツヴァイ)などの結婚相談所運営や婚活パーティー事業を手がけるIBJ<6071>は、2018年7月にミクシィの100%子会社で結婚支援事業を手がけるDiverse(東京都渋谷区)の全株式を5億2800万円で取得して子会社化した。

さらに2019年1月、結婚相談所サンマリエを全国展開するハピライズ(東京都新宿区)の全株式を4億100万円で取得して子会社化。2020年4月にはイオン傘下の結婚紹介サービス、ツヴァイに対して完全子会社化を目的に35億700万円でTOB(株式公開買い付け)を実施している。M&Aによる結婚紹介事業の規模拡大で生き残りを図っている。

同社の規模拡大は現在も進んでおり、同四半期の結婚相談所数は直営・加盟店を合わせて1年前より520店増えて4050店(同14.7%増)に。店舗増に伴い同四半期のお見合い会員数は9万4508人(同2.9%増)、お見合い件数は19万7754件(同7,6%増)と成長が続いている。

会員数が多ければマッチングの組み合わせも増えるので、同事業にとって事業規模の拡大は「正攻法」と言える。その結果、同社の2023年12月期第3四半期決算は、売上高135億5500万円(前年同期比22.6%増)、営業利益17億4100万円(同10.9%増)、四半期純利益13億7700万円(同17.8%増)と好調だ。


「後ろ盾確保」や「守りを固める」M&Aも

こうした再編の動きは他社でも見られる。株式会社日本仲人連盟(NNR、東京都渋谷区)は2022年4月、株式会社全国仲人連合会から結婚相談所連盟事業を譲り受けた。NNRは全国で約750の結婚相談所を置き、約1万4000人の会員を擁する。

ブロードマインド<7343>は2023年3月に、結婚相談所運営のイノセント(大阪市)の株式67%を取得し、子会社化した。イノセントは2017年に創業し、SNSやブログを中心としたWebマーケティングによる集客や、マンツーマン体制での婚活支援に強みを持つ。

ブロードマインドは主力事業の保険や証券、住宅ローンの取り扱いと結婚紹介事業の親和性が高いと見てM&Aに踏み切った。イノセントにとってはブロードマインドという「後ろ盾」ができたことで、競争が激化する結婚紹介事業での生き残りを図る。

TMSホールディングス(大阪市)は2023年8月、傘下で全国990社の結婚相談所が加盟する「全国結婚相談事業者連盟」運営のTMS(同)が、全国566社が加盟する結婚相談所連盟のダイナミックスを吸収合併するグループ内再編を実施した。経営統合による事業のコスト削減と効率化が狙い。

TMS HDは今回合併した2社と同業の子会社スクラムを合わせて、約2200社の結婚相談所が約8万人の会員を擁している。TMS HDのグループ内再編は「守りを固めた」と見ていいだろう。

結婚紹介事業を取り巻く外部環境の好転は期待できないため、今後も同業界でのM&Aは活発化することになりそうだ。

文:M&A Online

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