元喫茶店で味わう本格寿司 東京・豊洲から取り寄せ80種類 人気はなみだ巻きと胡麻サバ

[胃心地いいね](756)海の花 石垣市石垣270の28 1階

 バーカウンターにシーリングファン、厨房(ちゅうぼう)にはワイシャツにネクタイ姿の板前-。元々は長く地元で愛された喫茶店。與那覇千佳(かずよし)さん(41)が引き継ぎ、2018年4月にすし料理店「海の花」として開店して今年で5周年を迎えた。

 カフェのような内装でありながら東京や神奈川から仕入れた本格的なすし料理が楽しめる。壁には地域の子どもたちの命名紙が飾られ、実家のような温かみもある。

 島外の和食料理店や回転ずし店で12年間、経験を積んだ與那覇さん。5年ほど前に地元の石垣市に戻った。当初は実家の農業を継ぐつもりで里帰りした。

 先代の店を手伝って間もなく、先代が引退すると看板を継ぐことになった。「後輩に包丁などを譲って農業をするつもりで前職を辞めた。もう料理はしないはずだったけど」と苦笑する。

 開店資金は15万円。喫茶店の調度品を活用して経費を浮かせた。その名残で今の店の姿があり、コーヒーを出していたこともある。喫茶店のいでたちで、すし料理店というミスマッチが客に面白がられたという。

 だが、味は本格派。旬の島の海の幸のほか、「島の人たちに内地の魚を味わってもらいたい」と東京・豊洲市場、前職の回転ずし店の縁で神奈川からも魚を取り寄せる。

 まぐろづくし(税込み2860円)、光物5点握り(同1850円)、なみだ巻き(同428円)などメニューは次第に増えて約80種類に。ドリンクを含めると100種類以上になる。

 2020年に宅配・持ち帰り専門の2号店を市内に構え、コロナ禍では島人に支えられた。與那覇さんは「先代のように、地域に愛される店になれれば」と目標を語った。

(八重山支局・平良孝陽)

=金曜日掲載 【お店データ】午後5~11時。日曜定休。宅配・持ち帰り専門の2号店は水曜定休。電話0980(87)5091

人気のなみだ巻(左)と胡麻サバ(右)、本まぐろレバ刺し風(上)

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