タイガース2軍施設建設の公園、地中から大量のがれき 尼崎市、撤去費8億円負担へ

小田南公園の再整備工事の現場から出てきた大日本紡績杭瀬工場の基礎(尼崎市提供)

 プロ野球阪神タイガースの2軍施設オープンに向け再整備が進む兵庫県尼崎市杭瀬南新町3の小田南公園周辺で、地中から大量のがれきが見つかった。太平洋戦争中の空襲で焼失した紡績工場の基礎とみられ、阪神電鉄が撤去・処分し、市が費用約8億円を全額負担する方針。2025年2月の開業予定に影響はないという。

 市などによると、がれきは第1工区である同公園部分約5.5ヘクタールと第2工区約1.8ヘクタールから見つかった。大半がコンクリートとれんがで最大約1万8千トンに上る見込み。既に約5千トンを搬出しており、24年夏までに全て運び出す予定という。

 市立歴史博物館によると、この場所には1918(大正7)年、尼崎紡績を前身とする大日本紡績が杭瀬工場を建設。工都・尼崎の発展を支えたが、45年6月の空襲でほぼ焼失した。跡地は市などが80年から買収を始め、83~95年に野球場や公園が整備された。建物の詳細はユニチカ記念館などの資料で判明しており、基礎やがれきに史料的価値はないという。

 がれきの処分費用は、2021年5月に市と阪神電鉄グループが締結した基本協定書に基づき、全額を土地所有者であり、法的責任を負う市が負担する方針。23年度中に7割を処分する予定で、市は約8億円のうち約5億6400万円の債務負担行為を含む23年度一般会計補正予算案を開会中の市議会定例会に提出した。一方、同公園再整備に反対する市民らは市に丁寧な説明などを求める陳情を提出しており、15日の建設消防防災常任委員会で審査される。(広畑千春)

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