「イスラエルで治安悪化し、お金が下ろせない」国際ロマンス詐欺見抜いた信金職員に感謝状 兵庫県警

署長感謝状を受け取る前谷瑞葵さん=三木市大村

 恋愛感情を抱かせて現金をだまし取る「国際ロマンス詐欺」を食い止めたとして、兵庫県警三木署は日新信用金庫三木支店(三木市大村)の職員前谷瑞葵さん(20)に署長感謝状を贈った。

 同署などによると、11月24日午後2時過ぎ、市内在住の男性(72)が同支店を訪れ、窓口で応対した前谷さんに「急ぎでしてほしい。今日中にチケット代を払わなあかん」と告げた。

 ATMまで案内した前谷さん。当初は詐欺と思わず「何のチケットですか」と尋ねた。男性からは「イスラエルで治安が悪化し、お金が下ろせない。飛行機のチケットが買えないから振り込んでほしい-と頼まれた」との答えが返ってきた。

 男性は3カ月前、交流サイト(SNS)を通し、米国人女性を自称する人物と知り合った。その人物が「26歳で軍隊を辞めた。帰国費用を振り込んでほしい」と、飛行機代として約22万円を要求してきたという。

 同支店では、他店で発生した特殊詐欺や国際ロマンス詐欺の事例を勉強会を開いて共有していた。男性の話から国際ロマンス詐欺を怪しんだ前谷さんは上司に報告。警察に通報し、被害を防いだ。

 今月11日、署長感謝状を受け取った前谷さんは「普段からお客さまとのコミュニケーションを取っていくのが大切と感じた。今後も声かけを大事にしていきたい」と話していた。(長沢伸一)

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