【体験談】これって効果ある?コレステロール値対策を管理栄養士が採点!

健康診断の実施は事業者の義務であり、従業員の身体の不調をいち早く見つけだし対策を行うことで、生活習慣病などの未然予防が可能です。
私自身も社会人となってから何度も健康診断を受診してきましたが、特に問題がなく健康体であり、少し異常が見られたとしても再検査が必要となったことはありません。
「今年の定期健康診断も特に問題ないだろう」と高をくくっていた私ですが、とうとうその時はやってきました。

総コレステロール:245mg/dl(140~199)
中性脂肪:53mg/dl(30~149)
HDL-cho(善玉):64mg/dl(40~119)
LDL-cho(悪玉):174mg/dl(60~119)
nonHDL-cho:181mg/dl(90~149)
※括弧内が基準値(検査機関によって多少異なります)

総コレステロールに加えて、LDLコレステロールなどが大幅に基準値を超えており、3ヶ月後の再検査となりました。
この3ヶ月という非常に短いスパンでの再検査に「これはまずいのでは……?」という嫌な予感が広がり、居ても立っても居られずコレステロール値について調べてみると、追い打ちをかけるような情報が飛び込んできます。

「HDLコレステロール値が180mgを超える人は、健康な人の3~4倍の心筋梗塞リスクがある」

嫌な予感は確信に変わりました。
たしかに、私の数値は180mgを超えてはいないものの、その一歩手前であり、相応の心筋梗塞リスクがあるのは明らかです。
しかも、それ以外の数値も基準値を大きくオーバーしており、よりリスクが高くなっている可能性も十分あり得ます。

突如として命の危機にさらされた私は、健康診断を機に体質改善に取り組むことにしました。
この記事では、実際に私が血中脂質を下げるために取り組んだ行動を、管理栄養士に評価してもらい、実際にどれくらい数値が改善したのかを紹介します。

コレステロール値を下げるためにやったこと

私がコレステロール値を下げるためにした主な取り組みは以下の4つです。

① 豚バラ肉とバターの禁止

まずは、食事から摂取する脂質を少なくしなければと考えて、なんとなく脂が多そうな豚バラ肉を鳥むね肉やささみに変更し、どうしても豚肉が食べたいときには豚こま肉を選びました
あわせて、動物性の油は良くないという噂を聞いたことがあるので、バターもやめて米油を代わりに使用しました。

② 運動習慣づくり

「脂質の増加=体重の増加」というイメージがあったので、ダイエットすれば脂質も下がるのではないかという仮説のもと、運動習慣づくりに取り組みました。
最初は、週2回の筋トレから始めて、だんだんと身体が慣れていったので、週2回の水泳もプラスで行っています。

③ DHA・EPAサプリの摂取

動物性の油の摂取を控えるのと同時に、魚に含まれる油を積極的に摂取しようと考えました。
しかし、どうにも魚介類の値段が高すぎるため、コンスタントには食べることができず、代わりに、青魚の油に含まれる成分であるDHAとEPAのサプリを摂取しています。

④ 毎夕食お酢を飲む

運動をしたりサプリを摂ったりしていくなかで、健康意識が高まっていき、身体に良さそうなことはなんでも取り入れようという気持ちになり、特に脂質には関係なさそうですが、「なんとなく身体に良さそう」という理由でお酢も飲むことにしました。
個人的にはお酢が苦手なため苦労しましたが、夕食時にリンゴ酢のソーダ割を毎日飲んでいます。

3ヶ月の努力の結果

命の危機を感じた健康診断から3ヶ月間、自分なりの努力を続けた結果がこちらです。

総コレステロール:198mg/dl(-47)
中性脂肪:47mg/dl(-6)
HDL-cho(善玉):66mg/dl(+2)
LDL-cho(悪玉):126mg/dl(-48)
NonHDL-cho:132mg/dl(-49)

悪玉コレステロールのみ若干基準値をオーバーしていますが、そのほかの数値は基準値内に収まっています。
その悪玉コレステロールに関しても、50mg/dl弱低下しており、努力の成果は見えたのではないでしょうか。

また、この期間に体重が68kgから62kgまで落ちており、ダイエットにも成功しています。食事などにはある程度気をつけてはいましたが、間食やお酒をやめていないにもかかわらず6kg近くの減量成功は、予想だにしていない嬉しい結果となりました。
さらに、運動習慣がついたことで疲れにくい身体になってきているとも感じます。

健康診断の結果を見たときは数値の高さや再検査に戸惑っていましたが、結果的に体質改善に取り組むキッカケになり、コレステロール値を下げる以外にも、さまざまな良い効果につながりました。
健康診断の重要性をひしひしと感じた3ヶ月でした。

管理栄養士に聞いてみた!

今回の私の取り組みは、専門家からのアドバイスに則ったものではなく、すべてネットの知識などをもとに素人考えで行ったものに過ぎません。
結果的には数値が低下しましたが、「もっと効果的な取り組みがあったかもしれない……」という思いから、ドクタートラスト所属の片桐管理栄養士、私が行った対策について、本当に効果的だったかを聞いてみました。

コレステロールについて

そもそもコレステロールとは、何を指すのでしょうか?

片桐管理栄養士 コレステロールとは、血液の中に流れる脂質のひとつであり、細胞膜やホルモン、胆汁酸(脂肪を消化・吸収するもの)などを形成するために必要な成分です。
コレステロールには、肝臓で作られたコレステロールを全身に運ぶ働きのあるLDL(悪玉)コレステロールと、血液中の余分なコレステロールを回収して肝臓に運ぶHDL(善玉)コレステロールの2種類があります。
LDLコレステロールが多くなると、HDLコレステロールが減り、血管の内壁にコレステロールが沈着して、血管の内部を狭めてしまいます。さらに、それを放置してしまうと、動脈硬化が進み、その結果、脳梗塞や心筋梗塞などの疾患を引き起こす原因となります。

LDLコレステロールをさげるためには

片桐管理栄養士 LDLコレステロールを下げるためには、食生活の改善が基本です。
具体的な対策として、まずは、コレステロールが多い食品を食べ過ぎないようにすることです。
コレステロールが多い食品としては、卵やタラコなどの魚卵、レバーなどが挙げられます。
また、コレステロールのほかにも、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸もLDLコレステロールを上げることがわかっています。
飽和脂肪酸はバターや生クリームなどの乳製品や、バラ肉やひき肉など脂質の多い肉などに多く、トランス脂肪酸はマーガリンやショートニングなどを使った揚げ物やスナック菓子、洋菓子などに多く含まれています。
一方で、LDLコレステロールを下げるために積極的に摂っていただきたい食品として、野菜や海藻類、豆類などの食物繊維を豊富に含む食品や青魚(ブリ、イワシなど)のようにEPA・DHAを豊富に含む食品があります。

4つの取り組みの評価は?

上記のポイントを踏まえて筆者のそれぞれの取り組みを、片桐管理栄養士が評価してみました。

① 「豚バラ肉とバターの禁止 」の効果:○

豚バラ肉とバターの禁止は効果ありです!
飽和脂肪酸が多く含まれる食品を控えることでLDLコレステロールを上げないことにつながっています。
肉類ではバラ肉やひき肉などに脂質が多く含まれているため、赤身の多いモモ肉やヒレ肉を選ぶのもいいでしょう。また、鶏肉は皮の部分に脂質が多く含まれているので、食べる場合は皮なしを選ぶこともおすすめです。

動物性の脂にはLDLコレステロールを増やす飽和脂肪酸が多く含まれているため、それらの少ない植物性の油を使うこともLDLコレステロールを下げるポイントとなります。
米油以外にも、オリーブオイルや大豆油などを活用するのもいいでしょう。

② 「運動習慣づくり」の効果:△

運動はHDLコレステロールを上げるほか、中性脂肪値を低下させる効果があります。
しかし、LDLコレステロールを直接的に下げることにはつながりません。
ただし、コレステロールの7、8割は、肝臓で糖や脂質を使って作られており、運動でそれらの材料が消費されると、結果的にLDLコレステロールが下がるため、間接的な効果はあるといえます。

③ 「DHA・EPAサプリの摂取」の効果:△

LDLコレステロールを下げる働きのあるDHA・EPAをサプリメントから摂取することは可能です。
ただし、オメガ3系脂肪酸のサプリメントの健康的な利点の根拠は明確ではないとされているため、できる限り普段の食事からDHA・EPAをとることをおすすめします。

<参考>
厚生労働省eJIM「オメガ3脂肪酸について知っておくべき7つのこと厚生労働省」

④ 「毎夕食お酢を飲む」の効果:△

お酢に期待できる健康効果として、食後血糖値の上昇抑制や内臓脂肪の減少、血圧低下作用、疲労回復、コレステロールの低下などが論文で報告されています。
しかし、お酢が直接的にLDLコレステロールを下げる研究報告はまだ少なく、今後検討が必要といえます。

健康診断の結果を受けてさまざまな取り組みをされていますが、結果的には、LDLコレステロールを下げるだけではなく、適正体重に近づくための減量や運動習慣の形成などによって「健康的な体づくり」につながったのではないでしょうか。
偏った栄養バランスの食事や運動不足などが長年続くと、さまざまな生活習慣病を引き起こしてしまうため、早い段階で自身の日々の過ごし方を見直すことが重要です。
今回の取り組みをきっかけに、ご自身の体と向き合い、良い習慣を続けるように心掛けていただければと思います。

※ 本記事に掲載している情報は2023年12月時点のものです。

監修:片桐芽衣(ドクタートラスト 管理栄養士)

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