英国大使館跡地 弥生時代の遺跡を発見 専門家も驚き「なぜこんなところに」

千代田区のイギリス大使館の跡地から、弥生時代の集落跡が見つかっていたことが分かりました。遺跡には専門家も驚く新たな発見があったようです。

記者:「遺跡が見つかったのは、イギリス大使館のすぐとなり、この塀の向こう側の土地です」

皇居の目の前、内堀通り沿いにあるイギリス大使館。その跡地から、はるか昔…約2000年前の集落の遺跡が発見されました。千代田区によりますと、10月下旬までに弥生時代の集落とみられる21棟の竪穴住居跡に加え、縄文時代の住居跡なども見つかったということです。

この発見について、弥生時代研究の第一人者である明治大学の石川日出志教授は…

明治大学 石川日出志教授:「何よりもまず驚きなのは 江戸城(現在の皇居)のすぐ西側で、江戸時代に屋敷があり、尚且つそれ以後ずっと住宅地や開発が重なってきた(場所)。にも関わらず、今から2000年前の弥生時代の村がそっくり残っていた。これはまず驚き」

専門家も驚く、弥生時代の遺跡。さらに今回見つかった遺跡には、これまでにない新たな発見があるそうです。

明治大学 石川日出志教授:「神田川沿いの低地は水田を経営するのに非常に条件が良い。だからその周り、神田川沿いの周りには村ができる。ところが今回の遺跡は、江戸城の北側にある谷の奥にある遺跡。水田経営する場としてはそんなに良い条件ではないのに、なぜこんなところに村ができたのかが不思議」

千代田区によりますと、遺跡が発見された土地は都内の不動産会社が所有していて、マンションの建設が計画されているということです。今後、遺跡はどうなるのでしょうか…?

千代田区文化財担当課長 加藤伸昭さん:「発掘調査が終わった後は、今出てきた遺跡に関しては埋め戻して、それからマンション建設という手続きに入る予定だと思う」

千代田区は、開発事業者と遺跡の一部保存や地域住民に向けた見学会の実施などについて協議していますが、どちらも実現の目途はたっていないということです。開発を手がける企業は、この遺跡について「区と相談しながら法や条例にのっとり対応していく」と説明しています。

今回の遺跡は マンションの建設予定地で発見されましたが、もし私たち個人の土地などで遺跡を発見した場合はどうすればよいのか、みていきます。

千代田区に確認したところ、まず遺跡を発見した場合、「発見届」を自治体に提出する必要があります。その後、調査が行われ、そこで発見された遺跡について、今度は警察に遺失物を発見したという届け出をすることになります。これは遺跡も「遺失物」いわゆる「落とし物」として扱われるためで、そこから半年間、持ち主が現れるのを待つことになります。遺跡も大昔には「誰かのものだった」ということですね。

そして半年後に持ち主が現れなければ、初めて発見した人のものになりますが、今回のように文化財の可能性がある場合は自由に扱えるわけではなく、「文化財保護法」で保護の対象と定められているため、今度は自治体と遺跡の譲渡などを協議することになります。そこで自治体と合意した場合、遺跡を自治体に譲渡する手続きをとることになりますが、場合によっては報奨金の支払いなども行われるということです。一方合意しなかった場合は、発見した人が所有することになるということです。いつかの大発見のために覚えておきましょう。

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