週末の飲み会の後、二次会ではどのようなお店に行きますか?
2023年6月にオープンした「Moon grace(ムーングレース)」は、倉敷でも珍しいお酒と自家製スイーツを一緒に楽しめるお店です。
なぜお酒とスイーツという組み合わせを選んだのか。
お酒に合わせるために作られたスイーツにはどんな特徴があるのか。
オープンして3か月が経過した夏の終わりに、Moon graceを訪れました。
Moon graceとは
Moon graceは、えびす通商店街から横道に入った場所のビルの2階にあります。
お店のロゴである猫が手描きされた黒い看板の後ろにある、植物で囲まれた階段を登ったところが入口。ワインやウィスキーとそれに合わせるために作られた自家製スイーツを提供しています。
2023年9月まではアフタヌーンティーも提供していましたが、10月からは夜の時間の営業のみになりました。
店内は黒が基調になっていますが、飾られている植物やゴールドの小物が独特な雰囲気を作り出しています。
オープンの経緯について
この場所は以前、「Salon de Tonerico(サロン ド トネリコ)」というお店でした。
Salon de Tonericoは、花屋アトリエトネリコが運営するカフェ&Barで、現在Moon graceの店長を務める阪上恵美(さかがみ めぐみ)さんは当時、カフェを担当。
Salon de Tonericoのオーナーであるお姉さま夫婦とお店の将来について話をするなかで、2つのお店をそれぞれ極めたほうが良いという結論にいたりました。
その後、Salon de Tonericoから独立する形で2023年6月14日にMoon graceとしてオープンしました。
お店のコンセプトとペアリングするスイーツの特徴
Moon graceの特徴は、お酒と自家製スイーツのペアリングが楽しめるところ。
夜の時間帯にこだわりの自家製スイーツが食べられるお店は多くありません。
なかでも人気なパフェは、1、2か月ごとにメニューが変わります。
取材した日に提供しているのはピオーネとマスカットのパフェでしたが、その後、秋の食材である栗を使ったパフェの提供が始まりました。
もちろん、パフェが変わるとそれに合わせるワインも変わります。
店内に飾られているお花も季節ごとに違うものになっているので、店内でその季節を楽しめます。
お酒と合わせるために作られているスイーツ
取材当日は、夏のスイーツがそろそろ秋に切り替わる頃、というタイミング。
季節のスイーツと、年中通して人気のスイーツをいただきました。
ゴルゴンゾーラのチーズケーキ
一般的に、チーズケーキの材料として使われるのはクリームチーズ。
しかし、Moong graceのチーズケーキには、ブルーチーズの一種であるゴルゴンゾーラチーズが配合されています。
ケーキを口に入れた瞬間にゴルゴンゾーラチーズのしっかりとした風味を感じました。
濃厚なチーズの風味とのバランスがとても良く、なるほどこれはお酒に合いそうだと納得しました。
ピオーネとマスカットのパフェ
季節のパフェもいちおしメニューの一つです。
取材した日は、岡山の名産であるピオーネとマスカットを使ったパフェでした。
大粒のピオーネとマスカットがグラスからあふれそうなほど使われています。
滑らかなアイスクリームと、みずみずしい2種類のブドウ。種類の違う甘さを交互に楽しめました。
このように季節が変わるごとに、パフェとお酒の新しいペアを楽しめるのです。
生ハムと季節のフルーツ
取材した日に使われていたフルーツは、マスカットといちじく。
塩気のある生ハムと甘みのあるフルーツという、意外な組み合わせです。
1皿のなかでいろいろな味わいかたができました。
スタッフの想い
カウンターの中にグラスが並んでいるようすを見ると、Barのような雰囲気です。
しかし、Moon graceが目指しているのはカフェとBarの中間ぐらいの存在。
仕事帰りや二次会として訪れて、お友達とスイーツを食べながら、会話を楽める、少しカジュアルな雰囲気が理想とのことです。
本格的なBarに行くのは少しハードルが高いと感じてしまう人たちが、気を張ることなく気軽に行けるお店。
日ごろあまりお酒を飲まない人も行きやすいのではないでしょうか。
店長の阪上恵美さんに話を聞きました。
オーナーの阪上恵美さんにインタビュー
前身のSalon de Tonerico時代にはカフェと担当し、現在はMoon graceの店長である阪上恵美さんにお話を伺いました。
──一番人気のメニューはなんですか?
阪上(敬称略)──
ゴルゴンゾーラというブルーチーズを使ったチーズケーキです。
チーズケーキを出しているお店はよくあると思うんですけれど、ちょっと癖のあるブルーチーズを全面的に出しているお店はあまりないかなと思っています。
ブルーチーズはワインとの相性がすごくいいんです。
他にもチョコレートのテリーヌを出しているんですけど、それも結構しっかりめのウィスキーや赤ワインに合うように、濃厚なカカオの香りをしっかりと感じられるレシピにしています。
お酒が飲みたくなるような味付け、というのを意識しています。
Moon graceを開店した経緯
──なぜお酒とスイーツのペアリングを始めたんですか?
阪上──
私はもともと、お酒を飲むのがすごく好きなんです。
少しの間東京で働いていて、そのときに行っていたレストランがワインとお料理をペアリングするお店だったんです。
夜の時間帯もワインとスイーツを提供していて、仕事終わりにスイーツを食べてワインを飲んで帰るというのがすごく好きで。
けど、倉敷にはあまり遅い時間にスイーツを食べながらお酒を飲めるお店がないなと思ったんです。
私自身が仕事帰りにそうやって過ごすのが至福の時間だったんで、お酒とスイーツを楽しめる場所が好きな地元にあったらいいんじゃないかなと思って始めました。
お客の反応
──お客からはどのような声がありますか?
阪上──
お客様で喜んでいただけるかたは多いです。
なかなか夜にスイーツを食べられるお店はまだ少ないから、というのはよく言われます。
とくにワインなどのお酒と、スイーツを楽しめるお店はなかなかないから、とも。
最近はそう言われることが多くてうれしいです。
心がけていること、今後の夢や目標
──今後の展開はどのようにお考えですか?
阪上──
まず、今まで、土日は昼から営業していたんですけど、2023年10月からは夜をがっつりメインでやっていきます。
昼に営業しながら仕込みをしていると、夜の営業に間に合わなくて、ご迷惑をおかけすることもあったので。
夜にもっとしっかりペアリングを楽しんでもらうために、ペアリングセットを作ろうかなと思っています。
赤ワインにあうプレートはこれが、この白ワインにはこれが合います、というように、もっとわかりやすく提供できたらいいなと思います。
もう一つ、ちょっとした記念日や誕生日のお客様にとって、思い出に残る場所にしたいと思っています。
大切な人とステキな時間を過ごせたなと思ってもらえるように。
記念日に使ってもらえるようなコースプランをもう少しやっていけたらいいなと思っています。
──今後、倉敷に同じようなお店が増えていくといいですね。
阪上──
そうですね。
倉敷に、日常の生活よりも少しだけ贅沢(ぜいたく)して、特別な気持ちになれる空間がもっとあったらいいなと思います。
Moon graceは黒を基調にしてゴールドを入れて、大人っぽい感じにしています。
私自身もそういう雰囲気が好きなので。
今、ありがたいことにお客さんが増えてきて、入店をお断りすることもたまにあります。
なので、似たような雰囲気でまた少し違った感じのお店をいつかできたらいいなと思っています。
──そのときのコンセプトは、また違うものになりますか?
阪上──
お酒とスイーツも多少は置きますが、お酒とお料理をしっかり楽しめる、ちょっと大人な雰囲気のお店を出したいです。
おわりに
1日の終わりを、お酒と一緒に自家製スイーツを楽しみながら過ごす。
カフェでもBarでもないスイーツBarであるMoon graceには、これまでとは一味違った贅沢な時間が流れています。
季節が変わるたびに違った雰囲気を味わえるお店は何度も訪れたくなります。
お酒とスイーツを通してその季節を味わってみてはいかがでしょうか。