冬時期の気象のトピックスは寒さ。沖縄では昔から寒さを表現する言葉が多くあり、寒さの種類を使い分けてきました。沖縄ならでは寒さの表現を見てみましょう。
ビーサ(寒さ)カレンダー 始まりと終わり
これまで過去の資料や文献を調べたところ、旧暦の11月ごろの寒さを表現する「フーチェビーサ」が冬の第一陣の寒さの表現ではないかと思われます。その後、冬至の頃の寒さ「トゥンジ―ビーサ」や鬼餅の頃の寒さ「ムーチービーサ」などが続き、最後の寒さのことを、私は"寒さとのお別れ”と表現し「ワカリビーサ」として長年お伝えしてきました。今回は最初の寒さに当たる「フーチェビーサ」について紹介します。
フーチェビーサ“ふいご寒さ”
フーチェ(フーチ)とは、鞴(ふいご)といって、金属を加工する時に火をおこす道具として昔から鍛冶屋で使用されてきたものです。
旧暦の11月7日ごろに「ふいご祭り」を行う風習があり、その頃の寒さとして表現しているそうです。
では、実際に寒さの程度はどうなのでしょうか。ふいご祭りの時期となる旧暦の11月7日にスポットを当てて、過去10年の那覇の気温を見てみましょう。
旧暦の閏月(うるうづき)のある年は新暦では大きくずれてくるため単純な比較はできないものの、その日の平均を取ると、最高気温は22.1℃、最低気温は17.9℃となりました。
今年のフーチェビーサはいつ
今年は旧暦の閏月のある年に当たり、旧暦の11月7日は新暦では12月19日となっています。沖縄地方は今週末から寒気の影響を受けて、来週20日以降は一気に寒くなる見込みですので、早めに寒さへの備えをしておきたいものです。
週末は曇りや雨のぐずついた天気に
16日(土)の沖縄地方は前線が通過するため、一時的にザッと雨が降る時間帯がある見込みです。前線が通過した後は、大陸の高気圧の張り出しに伴って冬型の気圧配置が強まり、等圧線の間隔が狭くなって気圧の傾きが大きくなるでしょう。
冷たい北寄りの風が、比較的暖かい海面を通過する際により多くの水蒸気の補給を受けるため、この週末は、沖縄本島地方、宮古島・八重山地方は曇りや雨のぐずついた天気となる見込みです。大東島地方は、曇りの時間帯が長くなりそうです。
前線通過後は北風ビュービュー
前線が通過した後は北寄りの冷たい風がビュービュー吹き付けるため、体感は一気に寒く感じられそうです。お出かけの際は、風を通しにくい服装が良さそうです。
17日(日)にかけても霧雨のような細かい雨が続く予想です。各地で強い風が続き、瞬間的には10m/sを超えるような突風となる恐れがあるため、傘を使用する際は強風に十分お気を付けください。
崎濱綾子
気象予報士/防災士(株式会社ウェザーマップ)
沖縄県宜野湾市生まれ。ミスはごろもとして地元の観光大使を務める。RBC琉球放送でラジオ・テレビのリポーター、QAB琉球朝日放送で気象キャスターを担当。2005年に沖縄初の女性気象予報士となる。2005~2016年3月までRBC琉球放送の夕方のニュース番組で月~金曜日の気象キャスターを担当。2016年4月から東京の本社で勤務。Yahoo!ニュース動画出演・記事執筆を担当。Yahoo!ニュースエキスパート。好きな天気現象は、夏至南風(カーチーベー)。