なぜリンチされた我が子の遺体を世界に公開したのか?人種憎悪による凄惨な事件を映画化『ティル』本編映像解禁「アメリカに証人になってもらう」

『ティル』© 2022 Orion Releasing LLC. All rights reserved.

1950年代、アメリカに暮らす母子の愛が世界を動かした「エメット・ティル殺害事件」を初めて劇映画化。世界各国60映画祭で21部門受賞86部門ノミネートを果たした胸揺さぶる実話『ティル』が、2023年12月15日(金)より全国公開となる。

このたび、リンチによって凄惨な姿となった息子の遺体を世界に公開―時代を変えるきっかけを作った、母メイミーの姿を切り取った本編映像が解禁となった。

時代を動かした源流は、一人の母親の愛と正義

20世紀【公民権運動】、21世紀【BLM(ブラック・ライヴズ・マター)運動】、そして2022年3月【エメット・ティル反リンチ法】成立――時代を動かした源流は、一人の母親の愛と正義だった。

1955年8月28日にアメリカ合衆国ミシシッピ州マネーで実際に起きた「エメット・ティル殺害事件」。アフリカ系アメリカ人による公民権運動を大きく前進させるきっかけとなったこの事件をもとに、初めて劇映画化したのが『ティル』だ。

製作に、黒人俳優として世界的な人気を誇るウーピー・ゴールドバーグ、『007』シリーズのスタッフら超一流プロデューサー陣が名を連ねる。公開されるやいなや、各国の映画祭で賞賛の嵐が巻き起こり、主要60映画祭21部門受賞86部門ノミネートで賞レースを席巻した。

なかでも、主人公メイミー・ティルを演じたダニエル・デッドワイラーは、ゴッサム・インディペンデント映画賞、ナショナル・ボード・オブ・レビュー、サテライト賞など数々の映画賞で女優賞を総なめ。この賞賛の嵐は映画祭のみならず、映画批評サイトRotten Tomatoesで批評家96%・観客97%の高スコアをたたき出している。

「アメリカに証人になってもらう」

この度解禁となった本編映像は、リンチの末に凄惨な姿となった息子の遺体を世界に知らしめる決意をした、母メイミーの姿を捉えたもの。

「何の臭いだ?」
「息子の遺体の臭いです。人種憎悪の臭いを放ち戻ってきた」

エメット・ティル殺害事件の取材のために集まった記者の前に現れたエイミーは、堂々と言い放つ。

「人に見せられる状態じゃ……」「化粧を少し施せば」と、見栄えばかりを気にする周囲の声に抗い、息子がお気に入りだった黒のスーツを遺体に着用、世界に公開することを決意したエイミー。

彼女が深い悲しみを抱えながらも<やるべきこと>に向かい、時代を変えるきっかけとなった非常に重要なシーンとなっている。

『ティル』は2023年12月15日(金)よりTOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー

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