診療報酬改定、「本体」0.88%引き上げで調整 薬価は引き下げ

 政府は、医療機関に支払われる「診療報酬」の来年度の改定をめぐり、医療従事者の人件費などに充てられる「本体」を0.88%引き上げる方針を固めた。一方薬価については引き下げられる見通しだ。

医療従事者の賃上げ目的

 岸田総理大臣は15日、総理大臣官邸で武見厚生労働大臣や鈴木財務大臣と会談し、来年度の診療報酬改定に関して、医療従事者の人件費を含む「本体」を0.88%引き上げる方向で最終調整する方針を固めた。今年中にまとめられる来年度予算案に反映される。

 診療報酬は、医療従事者の人件費などにあたる「本体」と、処方する医薬品の公定価格である「薬価」から構成されるが、「本体」に関しては、来年4月から始まる医師の働き方改革をにらみ賃上げの必要性が論議されてきた。しかし高齢社会下で近年増加し続ける医療費抑制の観点から、患者団体などが賃上げしないよう要請するなど議論の行方が注目されていた。

「薬価」に関しては市場価格の推移に合わせて改定するが、ここ数年継続して市場価格が下がり続けていることから、今回の改定でも1%程度引き下げる見通しとなっている。政府としては診療報酬全体としてはマイナス改定とすることでバランスをとり、医療費抑制の基本スタンスは維持したい考えだ。

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