茨城・東海第2 早期再稼働の請願採択 村議会が賛意

日本原子力発電東海第2原発の早期再稼働を求める請願を採択した東海村議会=15日午前

茨城県東海村議会は15日、日本原子力発電東海第2原発の早期再稼働を求める請願2件を賛成多数で採択した。2011年の東日本大震災で被災して運転停止後、村議会が再稼働に賛成の意思を示すのは初めて。今後、国に再稼働を求める意見書を提出する。同時に、再稼働反対を求める請願3件も審議したが、いずれも賛成少数で不採択とした。

採択された請願は21年、村商工会と村環境整備事業協会がそれぞれ提出した。温室効果ガスの削減や地元経済の活性化のためとして、早期再稼働を国に求めるよう促した。

討論で、賛成した議員2人は「(温室効果ガス排出量が実質ゼロの)カーボンニュートラルの実現やエネルギーの安定供給のため必要」「安全対策工事の進展で、多くの人が来て地元経済に良い影響が出ている」などと主張。

反対した議員は、東京電力福島第1原発事故を念頭に、「原発事故の被害は甚大。環境は破壊され、住民の生存権や人格権が脅かされる」と訴えた。別の議員は東海第2の防潮堤工事の施工不良や敷地内で火災が相次いでいる問題に触れ、「(事業者に)原発を動かす資質があるのか疑問」と述べた。

採決は議長を除く15人で行われ、再稼働を求める請願は最大会派「新政とうかい」の議員ら9人が賛成、公明2人は棄権した。

議会後、山田修村長は取材に「議会の判断として尊重する」と述べる一方、再稼働に同意するかどうかについては明言しなかった。

東海第2は運転停止となった後、18年に原子力規制委員会の新規制基準審査に合格。21年には水戸地裁が避難計画の不備を理由に運転を認めない判決を言い渡した。

議会後、越智辰哉議長は「これまでに十分な議論を重ねた。結論を出せたことで議会の責任を果たせた」と述べた。

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